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YS-11や零戦展示 あいち航空ミュージアム、名古屋空港に30日開業

2017/11/21(火) 9:22配信

Aviation Wire

 愛知県は11月20日、県営名古屋空港(小牧市)に新設する「あいち航空ミュージアム」を報道関係者などに公開した。戦後初の国産旅客機である日本航空機製造YS-11型機や、三菱重工業(7011)が製造した零式艦上戦闘機(零戦)など実機6機を中心に展示し、30日に隣接する三菱重工の「MRJミュージアム」と同時オープンする。

◆屋上にはハンモック

 あいち航空ミュージアムは、名古屋空港の旧国際線ターミナルを改修した商業施設「エアポートウォーク名古屋」の近くに新設。地上2階建てで屋上には展望デッキがあり、延床面積は約7800平方メートルとなる。

 YS-11や零戦など6機の実機展示のほか、日本の航空史に残る名機100機種を25分の1スケールの精密模型でそろえた「名機百選」、航空機作りの歴史を大型の3Dシアターで学べる「オリエンテーションシアター」、鳥や航空機が飛ぶ仕組みを学べる小中学生を主な対象にした「サイエンスラボ」、YS-11の操縦を体験しながら空の仕事を学べる「職業体験」といったコーナーを設けた。

 館内のカフェからは名古屋空港や小牧基地の航空機が、滑走路を離着陸する様子がながめられる。屋上には展望デッキを設け、ハンモックに寝そべって民間機や自衛隊機が離着陸する様子が見られる。

 展望デッキの周囲は、幅広のワイヤーフェンスを採用することで、写真や動画の撮影にも対応。地方空港にありがちな、コンパクトカメラ程度しか入れられない小穴が開いた金網や、色付きアクリル板など、撮影を妨げる構造とは一線を画した。

 シアターやサイエンスラボ近くの2階男性用トイレには、YS-11のコックピット写真が貼られた個室も設けられ、トイレで用を足しながらも航空を体験できる徹底ぶりだ。

 1階の出口付近には、ミュージアムショップを設置。ボーイングやエアバスをはじめとする航空関連グッズや、同館オリジナルの商品もそろえた。

 初代館長は、岐阜県出身で名古屋市で育った航空工学が専門の鈴木真二・東京大学大学院教授が務める。

 開館時間は午前10時から午後7時まで。入館料は、大人1000円、高校生と大学生800円、小中学生500円、学校利用は小中学生と引率者が300円となっている。アクセスは名古屋駅からあおい交通のバスで約20分。

◆YS-11は空自の要人輸送機

 同館に展示しているYS-11は、航空自衛隊美保基地の第3輸送航空隊に所属していた要人用人員輸送機(機体番号52-1152)。1965年に空自へ引き渡され、今年5月29日に鳥取県の美保基地から小牧基地までラストフライトした。

 YS-11は、半民半官の日本航空機製造が、1962年から1974年までに試作機2機を含む182機を製造した戦後初の国産旅客機。日航製が設計・開発と生産管理、品質管理、販売、プロダクトサポートを行い、生産は重工各社など機体メーカーが分担し、最終組立を三菱重工が担当した。1962年7月11日に試作1号機(登録番号JA8611)が、三菱重工の小牧工場(現・小牧南工場)でロールアウトし、同年8月30日に名古屋空港から初飛行した。

 国内の旅客定期便からは2006年9月30日に、飛行検査機として運用していた国土交通省航空局(JCAB)では2006年12月22日に、海上保安庁では2011年1月13日に、海上自衛隊では2014年12月26日に運航から退き、現在では航空自衛隊の機体を残すのみとなった。

 零戦は、三菱重工の大江工場で1944年に生産された52甲型の三菱4708号機。ミクロネシア連邦のヤップ島で発見された機体を復元したものを展示している。

 このほか、三菱重工が製造した双発ターボプロップの多用途小型ビジネス機「MU-2」(JA8737)、三菱重工の双発ビジネスジェット機「MU-300」(JA8248)、三菱重工が日本で初めて国産技術のみで製作した民間用双発ヘリコプター「MH-2000」のJAXA(宇宙航空研究開発機構)が運用していた機体(JA21ME)、名古屋市立工業高校が製作した「名市工フライヤー」が展示されている。

 愛知県によると、元JAXAのMH-2000を除き、自衛隊や三菱重工などから機体を借り受けたという。

 開館後の課題は、展示機の保存維持。他県の展示機では、予算の関係で再塗装に航空機用塗料が使えず、本来の塗装とは異なる色合いに一時期なったものも見られた。愛知県では2015年11月に「愛知県名古屋飛行場等見学者受入拠点施設展示物整備基金」を創設。基金への寄附金を、展示機の整備財源に充てていくという。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:2017/12/7(木) 5:32
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