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「転職先は辞めた会社」出戻り社員が増えている切実な理由

11/24(金) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

一度、辞めた社員を企業が再び雇用する「出戻り」を認める風潮が高まっている。その象徴の一つが、日本マイクロソフト会長だった樋口泰行氏のパナソニック経営層への“出戻り”だ。

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新卒採用、年功序列、終身雇用の3点セットが前提の会社では、一度辞めれば「二度と敷居をまたげない」という企業文化も珍しくはなかったが、意識は確実に変わりつつある。

採用支援サービスのエン・ジャパン東海関西営業部の営業マネージャー田中雅基さん(36)は、5年半ぶりに戻ってきた会社の朝礼で、感極まって泣きだしてしまった。

「正直、あまり歓迎されていないと思っていました。それが想定と違って、あまりにもみなさんが温かくて」

「いつでも戻って来たらいい」と、復職に際し、社長面談でも言われていた。とはいえ、一度飛び出した会社で「出戻り社員」として働くには、田中さん自身、複雑だった。「一時的な感情で飛び出して、迷惑をかけた」との思いがあったからだ。

会社を辞めようと思ったきっかけは、27歳での結婚。

「改めて人生について考えた時に、30歳までには経営をやろうと思って入社したことを思い出したんです。今の自分はちょっと違うなと」

田中さんは当時、東海関西地区の営業担当で、中小企業の中途採用支援が主な仕事だった。営業スタイルの改革を会社に提案するが「取り合ってもらえない」という「今思えば若気の至り」の不満もあった。

ベンチャー転職は甘くなかった

転職先に選んだのは、顧客である設立1年のベンチャー企業。年収は下がるし、結婚相手にも驚かれたが、踏み切った。しかし、創業したてのベンチャーへの転職は、そう甘いものではなかった。

チーフで入ったものの、1年で肩書きはなくなり、23歳の新入社員の女性の下で働くことになる。大きな組織での仕事と、何から何までやらなくてはならないベンチャーでは、あまりに勝手が違っていた。

とにかく必死で働いた。営業経験を生かし新規サービスを軌道に乗せ、転職3年目には役員に昇格。ただ、社員の退職が相次ぎ負担は多くなる一方、業績連動型の報酬は下降し続けた。

マンションをローンで購入し、2人の子どもが生まれていた田中さんは、次の仕事を考えざるを得なかった。転職から5年が過ぎていた。

「次は家族で夕飯を食べられる、安定した会社にして」

さんざん心配をかけてきた妻の望む転職をしようと、転勤のない安定企業でなんとか内定をつかむ。

だが、ほっとしたものの、なぜか心が踊らない。

そんなころ、退社してからも、ずっと付き合いを続けていたエン・ジャパン同期入社グループのLINEが鳴った。

「戻ってくればいい。一緒にやろう」。

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最終更新:11/24(金) 11:52
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