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駅のホームドア設置、首都圏で加速するも地方は遅れ

2017/12/3(日) 14:20配信

ニュースイッチ

施工法や設備改良がカギに

 駅の安全対策としてホームドアの設置が進んでいる。3月末時点の設置駅は全国686駅で、課題は利用客の多い大都市圏のJRや私鉄路線への導入。また首都圏では普及が加速するが地方は遅れ気味だ。既存の駅への設置は、車両や駅に大がかりな改造工事が必要で費用も多額になる。各社はそれぞれの事情に合わせて最適なホームドア設備や効率の良い施工法の開発に知恵を絞る。

 JR東日本は11月23日、上野駅京浜東北線ホームへのホームドア据え付けを報道公開した。作業は終電から始発までの2時間半。ホームドア輸送用列車が到着すると、作業者は約350キログラムの本体を運搬車に載せて次々運ぶ。子会社のJR東日本メカトロニクスが自作した道具を駆使して短時間施工を実現した。

 作業には前回現場からのカイゼンが随所に反映されている。JR東日本東京支社の施設部機械課山田俊雄課長は「ホーム改良から工夫して工期短縮を目指してきた」と話す。上野駅のホームは盛土構造のため、約2年半の工期の大部分を土台の補強工事が占めた。

 JR東日本は東京五輪開催の2020年夏までに山手線や京浜東北線など58駅への設置を計画。東京メトロは同138駅を目指す。首都圏の鉄道各社が整備計画の前倒しや追加を打ち出すのに対して地方の動きは鈍い。

 JR九州は、11月21日から福岡市内の九大学研都市駅で、軽量型ホームドアの実証実験を始めた。本体が軽ければホーム補強工事が軽減できて、コスト抑制や短工期化が期待できる。

 JR東海は18年初に管内で初めて名古屋市内の金山駅に試験導入する。柘植康英社長は「他社よりも(開口)幅を広くしなければならない」と開発の難しさを強調する。ホームには乗降位置の異なる車両が乗り入れる。

 阪急電鉄は19年3月までに大阪市内の十三駅で初めて設置する。曲線ホームで酔客の利用も多く、杉山健博社長も「(阪急で)一番転落があり得る駅」と指摘し、対策を急ぐ。

 ホームドアはホームからの転落や列車との接触事故防止に効果があり、両事故は16、17年度と2年連続で減った。国交省は、1日当たり利用客10万人以上の駅で導入を急ぐ方針だが、構造上の制約など設置が容易でない駅が多いのも事実だ。同基準の普及率は3月末時点で32%にとどまる。

 安全への投資は直接利益を生むものではないが、鉄道事業者には積極的に導入を進める姿勢が求められる。

日刊工業新聞第二産業部・小林広幸

最終更新:2017/12/3(日) 14:28
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