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低山でも遭難の可能性ゼロではない 自分のため、大切な家族のため「登山計画書」作成を習慣に

12/4(月) 16:56配信

夕刊フジ

 【ゆる登山はじめました】

 山歩きに行くとき、行き先や同行者の情報を家族に伝えていますか。

 前回、リスク管理として登山の計画を家族や友人に伝えることをお伝えしましたが、ひとり登山に限らず、誰かと行く登山でも同じ。登山の計画を自分以外の第三者に的確に伝える方法が「登山計画書」です。

 登山計画書は、何のために作るのでしょうか。一番の役割は「遭難時対応のため」です。例えば、山に入った人が下山してこなかった場合、計画書があり、歩く予定のルートが分かれば、その情報をもとに捜索することができます。

 計画書もなく、「山に行く」としか家族に伝えていなければ、どこを探してよいか見当もつきません。「北アルプスに行く」と伝えただけでも、広大な北アルプスのどの山を探せばよいのか……となります。

 「上高地から入山して槍沢を登って槍ケ岳に行く。途中、槍ケ岳山荘に1泊する。帰りは来た道を戻る」と具体的な情報があれば捜索がしやすく、発見の可能性も高くなります。

 私の場合、歩くルートや持ち物、悪天候時のエスケープルートなどを検討して書き記すことが、登山計画の最終チェックの役割も果たしています。書面にすることで、頭の中の情報を整理し、足りないものをあぶりだすことができます。

 計画書に書く最低限の内容は(1)山名(2)日程(3)歩くルート(4)メンバーの情報(名前、年齢、住所、自分の携帯番号、家族など緊急連絡先の電話番号)(5)その他(持ち物、宿泊先、エスケープルートの情報など)です。

 書いた書面は--。

 (1)家族や友人に渡します。印刷して自宅に置いておくでも、メールで送るでもよいでしょう。

 (2)登山口や登山口の最寄り駅などにある登山計画書入れに提出します。事前にメールやFAXで山域のある警察署に送ることもできます。

 (3)山行中に持ち歩きます。例えば、登山中に同行者がケガをして、同行者の家族に連絡を取るときなど、手元に計画書があると役立ちます。

 泊まりの縦走登山では計画書を作るけど、数時間の低山ハイキングではわざわざ作らない……という人も多いでしょう。

 しかし、遭難の可能性は低山でもゼロではありません。実際、高尾山や奥多摩の低山でも遭難事故は発生しています。手がかりがなく、発見されるのに時間がかかってしまう事案もあります。

 自分のため、そして大切な家族のため、計画書を作ることを習慣にしていきたいものです。

 【便利なひな形を利用する】

 登山計画書を作ることを習慣にする第一歩は「書きやすいひな形を用意すること」から。最近は、人気の山域のある県の警察署のサイトや、登山情報サイトなどで登山計画書のひな形が用意されています。使いやすいものを選んで、ダウンロードして使うとよいでしょう。

 拙著『東京周辺お泊まりゆる登山』『もっと行きたい! 東京近郊ゆる登山」(実業之日本社)でも、巻末に登山計画書のひな形を記載例付きで紹介しています。

 手前味噌で恐縮ですが、最低限の記載事項で分かりやすく、何を書けばいいのかと悩むことなく登山計画書が作れます。ぜひ、活用していただければと思います。

 ■西野淑子(にしの・としこ) オールラウンドに山を楽しむライター。日本山岳ガイド協会認定登山ガイド。著書に「東京近郊ゆる登山」(実業之日本)、「山歩きスタートブック」(技術評論社)など。NHK文化センター「東京近郊ゆる登山講座」講師。

最終更新:12/4(月) 17:04
夕刊フジ