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<新潟水俣病>「ニセ患者じゃない」原告ら万感

12/4(月) 22:44配信

毎日新聞

 ◇市が上告断念

 新潟市に新潟水俣病の患者と認められなかった住民など9人が患者認定を求めて起こした訴訟の控訴審で、9人全員を水俣病と認めるよう市に命じる東京高裁判決が出たことについて、新潟市は4日、上告しないと正式表明した。最初の提訴から丸4年で原告全員勝訴の判決が事実上確定、篠田昭市長が近く9人に直接謝罪する。「やっとニセ患者じゃないと証明できた」--。差別などを恐れて家族にすら被害を伏せてきた原告らは、万感の思いを胸に喜びをかみしめた。

 篠田市長は4日の記者会見で「こういう(手足のしびれなどの)障害が出たら水俣病だと考えるのが普通だと、個人的に、市長としても思っていた。敗訴してほっとする裁判は他にないかもしれない」と述べた。

 原告9人のうち7人の患者認定を命じた1審判決を不服として控訴したのは「(他の訴訟誘発を防ぐために)いくつかの点を確認したいから」だったと釈明。控訴審判決で「(時間が経過してから発症した人の扱いなど、確認したかった点に)明確な判断が出た」とし、上告しない理由を説明。市長自らが原告たちに控訴で訴訟が長引いたことを謝罪する意向も示した。

 市側の反応に、1審段階から水俣病患者と認められていた原告女性は「やっと認められた。1審で棄却された2人も一緒に勝つことができ、本当に良かった」と顔をほころばせた。一方で「不安はまだ消えない。問題は根深い」ともつぶやいた。

 女性はこれまで差別や偏見を恐れ、親戚や我が子にすら自身が水俣病であることは告げてこなかった。「周囲の『カネ目当てでは』などの声がすぐに消えるとも思えない」ため、「(事実を知らせて)子どもに迷惑をかけたくない」と考えている。

 同訴訟は2013年に最高裁が感覚障害のみでも水俣病と認める判決を出したことを受け、新潟市在住の50~60代の男女8人と、06年に亡くなった男性(当時76歳)の妻が提訴していた。【堀祐馬、南茂芽育】

最終更新:12/5(火) 11:07
毎日新聞