ここから本文です

重ねた鍛錬が人生に活力 地域の活性化・子の育成に通ずる「空手」

2017/12/4(月) 19:15配信

沖縄タイムス

【連載・空手と私】玉井栄良さん(70) 安里二区自治会長

 那覇市の安里二区自治会長・玉井栄良さん(70)にとって「空手」は豊かな人生を送る原動力だ。空手との出会いが玉井さんに「自信」と「誇り」をもたらし、人生を有意義なものにしてきた。「自治会の掃除も空手の訓練」と話す玉井さんは出身地である安里地域の活性化に尽力しつつ、空手を通した子どもたちの健全育成にも力を注ぐ。(社会部・西里大輝)

この記事の他の写真・図を見る

 復帰前。東京の大学に進んだ玉井さんは「沖縄の人は英語で会話する。草履で学校に行く」などの本土の人の誤解や偏見に本土への劣等感を抱いたという。卒業後帰郷し、那覇防衛施設局(現・沖縄防衛局)に勤務するも本土の職員との仕事のやりとりでは自信を持てずにいた。

 27歳の時、父親の亀吉さんが館長を務めていた自治会の集会施設「安里会館」に故・仲里周五郎氏(県指定無形文化財保持者、1920~2016年)が開設した沖縄空手道小林流小林舘協会の安里道場が開館し、入門した。

 勤務をしながらの週3回の厳しい稽古。しかし鍛錬の日々が、いつしか空手の妙味や奥深さを感じ、のめり込んでいった。鍛錬を積んだことで我慢強さや忍耐力が身に付き、いつの間にか本土への劣等感もなくなっていた。逆に空手の話題で本土の人とも会話が弾み、友人の輪が広がった。

 有段者ということで仕事仲間などからは一目置かれるようになり、人付き合いなど空手は仕事で生かされた。「空手が自信を芽生えさせ、沖縄の人間であることに誇りを持たせてくれた」

 現在、沖縄空手道小林流小林舘協会理事長を務める玉井さんは、入門した安里道場の3代目館長として週2回、子どもたちへ伝統空手を教えている。「自信と責任感の醸成」をモットーに子どもたちへの指導は30年に及ぶ。「子どもたちが大会などでメダルを取ったと笑顔で喜ぶ姿を見ると難儀も吹っ飛ぶ」と笑顔だ。

 また、子どもたちには練習後、安里地区の民俗伝統芸能「安里南之島」も指導し、継承を試みている。復活させたが途切れてしまった地域の「誇り」。その再復活を目指し、披露できる日を待ち望む。

 空手家の自治会長は道場でもあり地域住民の集いの場でもある「安里会館」が、もっと地域の役に立つような活用法を模索しながら空手への精進と地域活動にと全力投球の毎日だ。

最終更新:2017/12/4(月) 19:15
沖縄タイムス