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2.5/5Gは10GBASE-T対応ケーブル敷設までのつなぎ、アンマネージプラスの販売比率は日本が世界トップ~NETGEARに聞く~

12/5(火) 6:00配信

Impress Watch

 1000BASE-Tの10倍速、という高速な有線LAN規格「10GBASE-T」が、いよいよ身近になりつつある。

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 LANカードは既に100ドル以下のモデルや2万円台のモデルが登場、ハブについても8ポート8万円の製品が国内で発売済み。10GBASE-T標準搭載のiMac Proも12月に発売されるなど、価格・製品バリエーションの両方で徐々に環境が整ってきた。

 長らく望まれてきた10GBASE-Tの低価格化だが、技術的には1000BASE-Tから変更された点も多く、設定や活用上のノウハウも新たなものが必要になる。そこで、規格の詳細や現状、そしてその活用方法を、大原雄介氏に執筆していただいた。今回は番外編の2回目として、10GBASE-T普及におけるケーブルの問題や、ネットギアジャパンにおけるマルチギガ(NBASE-T)の位置付けについてのインタビューをお届けする。今後、本連載は毎週火曜日に掲載していく。(編集部)

 10GBASE-Tの市場が、今後急速に立ち上がるのか? というと、NETGEARではそこまで楽観視してはいないようだ。

■10GBASE-Tへの移行はケーブルが問題既存ケーブルで対応可能な2.5/5Gを足掛かりに

 10GBASE-Tについて曽利氏は「問題はケーブルを(既存のCAT5/5e/6/6eを)敷き直さないといけないこと。これが普及が進まない大きな理由だと考えています」との見方を述べた。「我々もさまざまなデータを見ていますが、まだ6~7割はCAT6eまで。CAT7ケーブル自体がまだ普及していないので、スイッチやサーバー、NASなどは入れ替えられても、ケーブルを敷き直すための予算がさらに必要です。ユーザー自身でできれば安く済むのでしょうが、業者さんにお願いすると、“メーターあたりいくら”の世界ですから」。

 そして「今後は10GBASE-Tの前に、まずはマルチギガという感じです」とし、「ケーブルが新しくなるまでの間を埋めるもの。10GBASE-Tへ本格移行するまでに、まだ数年掛かると思われます。その頃まではNBASE-Tの普及が進むと考えています。」とした。

 これを受けて渡部氏は、「例えばケーブルを敷き直すほどではなくとも、1000BASE-Tのままだと遅い、という要望がある程度あれば、サーバーメーカーがこれに応える何らかの製品を出してくるかもしれません。そうした動向を見ながらになりますが、例えばサーバーを入れ替えるときに、マルチギガ(1/2.5/5/10GBASE-T)対応のモジュールを搭載したものが導入されれば、ケーブルは既存のままNBASE-Tで繋いで5Gbpsを通し、翌年の予算でケーブルを交換しようか、というシナリオが考えられます。逆にそういうことが絡まないと、なかなか市場が盛り上がりません」と述べた。

 そして「まずはスイッチを入れ替えておき、次にサーバーが対応したら(2.5/5Gに)速度を上げて、といった感じですね。スイッチはある意味インフラですので、将来の準備という感じで導入していただけるか、と」(曽利氏)。

 「NBASE-Tに関しては、弊社の全製品で対応というわけではないですが、かなりのものが対応する予定です。弊社自身、NBASE-T Allianceのメンバーでもあり、相当力を入れています」(前田氏)。

 ということで、製品としては10GBASE-TスイッチやNASなどを中心に販売をしてゆくものの、実際には当面2.5/5GBASE-Tが使われていくと、NETGEARでは想定しているようだ。

■10GBASE-T対応クライアントや25/40GBASE-Tの普及は?

 一方、クライアント側については、「1000BASE-Tから10GBASE-Tへの移行に際してはケーブルを変えないといけないので、今後そういうニーズがどの程度増えるか次第です。特にコンシューマー向けに関して言えば、クライアント側に10GBASE-Tが来るのはまだ相当先のことでしょう。すでにクライアントではスマートフォンが多数を占めているので、むしろ無線の高速化が先。どちらかと言うとホームサーバーやNASなどが10GbEになるのが先だと考えています。あるいはWi-Fiルーターなどですね」(渡部氏)。

 では逆に、25GBASE-Tや40GBASE-Tについては、「将来的には普及すると考えていますが、現時点では社内でも出すか出さないかを検討している段階です」とした。普及の段階としては「おそらくスイッチと同じラックに入るサーバーとの接続、あるいはデータセンターのラック間からで、トラフィックが集約されるところで使うイメージでしょう」との見方を示し、そうなった段階でも「その先のアクセスは10Gで、というかたちになるかと思います」(曽利氏)ということで、まだ当分先になりそうである。

■アンマネージドプラスの販売比率は日本がトップ

 ところでついでに製品についても。前回も触れた「XS708E」は、「アンマネージプラス」という聞きなれない表記の製品である。そもそもスイッチには、管理機能が一切ないL2スイッチを指す「アンマネージ」と、SNMPをサポートした管理機能付きのL2以上のスイッチを指す「マネージド」の2種類がある。アンマネージプラスはこの中間とも言えるもので、以下のような機能を搭載している。

ポートミラーリングポートVLAN/Tag VLANリンクアグリゲーションQoS機能(IEEE 802.1 CoS/ポート/DiffServe)ブロードキャストストームコントロールループ検知

 ただし、SNMPには未対応なので、ウェブブラウザーからスイッチにログインし、ここで機能設定などの管理を行う使い方になる。

 「アンマネージプラスの製品をNETGEARが初めて出したのが6年くらい前でして、日本で発売するかどうかという話をしたとき、私は社長に『売れないんじゃないか』とかいう話をしたんです。ところが、今は一番売れている(笑)。私はSNMPがなければ売れないだろうと考えていたのですが、実は全世界で日本が一番アンマネージプラスの販売比率が高いのです」(渡部氏)というのはなかなか興味深い。

 こうした製品を比較的安価に販売できていることについては「そもそも、10GBASE-Tのみをサポートするチップはもうなくなってきていて、すべてマルチギガに対応するものになってきています。このため、10GBASE-Tとマルチギガではコストに変わりがありません。管理機能についても同様で、アンマネージやアンマネージプラスは、機能を使えなくしています」(渡部氏)とのことだ。

 なお、念のために書いておけば、ここでいうコストは“チップの原価”であって、管理機能のテストや、バージョンアップのためのソフトウェア開発のコストは別である。なので、製品トータルでのコストとは異なるが、チップの側については、だいぶこなれてきたということだろう。

■NASベアボーンは国内初

 NASに関しては、「過去にはコンシューマー向けも扱っていましたが、現在はビジネス向けに絞っています。また、米国では製品を店頭でも販売していますが、日本では店舗での販売は行っていません。ただし通販では、例えばAmazonさんでも扱っていただいています。また法人向けのチャネルでも結構出ています」(曽利氏)。

 「そもそも日本市場の法人向けにNASのベアボーンを出したのは、NETGEARが実は一番最初で、現在でもラックマウント向けでは全世界で10%程度のシェアがあります。日本でももう一度NASのマーケットを取りに行こうか、という話も出ています。ただその場合のマーケットはSMB向けになるでしょうね。」

 コンシューマー向けでは、「(ベアボーンよりも)ディスク付きのモデルがよく出ていました。メーカー保障のあるHDDを買うというスタイルです。昔の話では、別のメーカーさんがデスクトップ向けの安価なHDDを搭載しているときにはWDのRedシリーズ、次いでBlackシリーズ、現在ではデータセンター用のHDDを搭載して販売しています。要するに信頼性の高い製品を積み、5年保障を付けてということです。そういった部分で購入していただくお客様が多かった」。

 採用OSについては「NASはLinuxベースで動いているのですが、他のメーカーさんよりも(Linux Kernelの)バージョンが新しいのも特徴です。他社製品の多くがKernel 3.xですが、我々は4.x。ファイルシステムもBTRFSを昔から利用しています」(渡部氏)といったあたりを差別化要因として挙げてくれた。

 番外編として、10GBASE-T機器を扱うメーカーの生の声をちょっとお届けした。市場の立ち上がりのタイミングなどが非常に興味深いところである。職場あるいは宅内LANへの導入を考えている読者の一助になれば幸いである。

INTERNET Watch,大原 雄介

最終更新:12/5(火) 18:07
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