ここから本文です

アングル:リサーチ料設定に苦心の金融機関、EU新規制導入迫る

12/5(火) 12:03配信

ロイター

[ロンドン 4日 ロイター] - 銀行や証券会社にリサーチ費用と売買手数料の分離請求を義務付ける欧州連合(EU)の新規則導入が1月に迫ったが、マクロ経済、外為、債券、株式などのリサーチ料をそれぞれどう設定すべきかについて、業界の見方は収れんしておらず、金融機関はぎりぎりまで頭を悩ませている。

リサーチ費用の分離請求は「金融商品市場指令(MiFID)II」の一部で、市場の透明性を高め、投資家により良い価格を提供するのが狙い。ただ、実施には複雑な要素が絡むため、既に施行が1年延期された経緯がある。

ロイターが取材した中で、少なくとも11の銀行は投資リサーチおよびアナリストとの面談に料金を課す方針を示した。複数の筋によると、債券のリサーチ料は低めに設定される見通しで、マクロ経済を中心とする一部リサーチについては、ポータルサイトで無料で見られるようにすると話す関係筋もいた。

ロンドンにあるグローバル銀行筋は「当行は現在、お客様と話し合いを進めている」とした上で、「ほかの銀行もみな、料金設定をまだ決めていないと聞く。3月まで決まらないだろうと言う人もいた」と話した。

銀行業界で働くアナリスト数千人の雇用にも懸念が生じている。業界は世界金融危機とその後の規制強化で既に絞り上げられており、コアリションのデータによると、上位12行のアナリスト数は2012年から10%減って16年には5981人となった。

新規則の施行を控え、株式アナリストが独立系の調査会社や投資銀行に転職したり、新たな職種を検討する事例も数多く伝えられている。

独立系投資調査会社BCAの推計によると、投資リサーチには世界で年間160億ドルが費やされているが、今後数年で減少する見通しだ。

みずほ(ロンドン)の金利ストラテジー統括、ピーター・チャットウェル氏は今、毎週少なくとも1、2日はMiFID IIへの対応に時間を費やしていると話す。

チャットウェル氏は「リサーチ契約の料金決定や、新しいリサーチ・ポータルの作成、新規のお客様に素早くサービス提供する方法の検討などに、多大な時間を費やしている」と説明。

新規制への対応は、1回きりの改定ではなく構造的な変化になるため、「Y2K(コンピューターの2000年問題)よりはるかに大きな出来事だ」と語った。

<FICCリサーチは安く>

債券・為替・コモディティ(FICC)のリサーチ料は、株に比べて概して低く設定される見通しだ。

CFAインスティテュートによると、株式リサーチの平均的な料金率は10ベーシスポイント(bp)になると予想され、運用規模10億ユーロの企業だと年間100万ユーロを支払う計算になる。これに対し、FICCは平均3.5bp程度だ。

ある欧州銀行筋は、リサーチ料の決定は「現実を直視する」瞬間になると話した。

別の銀行筋は「市場で今取り沙汰されている料金はスズメの涙ほどで、インボイスの送付料ぐらいにしかならない」と嘆いた。

(Dhara Ranasinghe記者 Abhinav Ramnarayan記者)

*本文中の文言を一部修正して再送します。

最終更新:12/9(土) 16:15
ロイター