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<プリウス20周年>トヨタ、次はEV対応

12/5(火) 19:44配信

毎日新聞

 世界初の量産ハイブリッド車(HV)として開発されたトヨタ自動車の「プリウス」が10日、1997年12月の発売から20周年を迎える。ガソリンエンジンと電気モーターを併用して高い燃費性能を実現し、世界のエコカー市場を切り開いてきた。しかし、最近は各国で電気自動車(EV)の普及を促す動きが加速。トヨタはHVで培った電動化や蓄電池の技術を活用し、EVへの対応も急ぐ構えだ。【小倉祥徳、和田憲二】

 「21世紀に間に合いました」。94年に開発がスタートしたプリウスは、こんなキャッチコピーとともに登場した。燃費性能はガソリン1リットル当たり28キロで、当時の主力車「カローラ」の約2倍。環境意識が世界的に高まる中、驚異的な燃費性能に注目が集まった。

 ガソリン価格の高騰も追い風になり、2代目(2003年)や3代目(09年)が発売されると、販売台数は大幅に拡大。15年に売り出された4代目は燃費性能40.8キロを誇り、今年10月末にプリウスの累計販売台数は415万台に達した。うち半分強を米国など海外販売が占める。

 トヨタはプリウスを含めて37車種のHVを世界90カ国以上に投入。HV全体の累計販売台数は今年10月末、1122万台になった。EVを含む電動化車両で16年の世界シェアは4割強。初代プリウスの開発責任者を務めた内山田竹志・現会長は「環境性能で車を選ぶという、新しい価値観を作ることができた」と胸を張る。

 ただ、最近はHVへの逆風もある。欧米や中国、インドなどでは、環境規制でEVを優遇し、HVを優遇対象から外すなどの動きが出ているためだ。各国の対応を踏まえ、国内外の自動車大手がEVの開発を強化している。

 これまでトヨタは次世代エコカーとして家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)や燃料電池車(FCV)を重視。EVの本格的な量産は行っておらず、「EVの出遅れ」を指摘する声がある。

 今年11月下旬にあった報道機関向けの技術説明会で、トヨタの安部静生常務理事は「HV20年の取り組みで、モーターなどの小型化、高性能化を達成した。電動車の生産技術でも優位性がある」と強調。HVで培った技術を活用し、2020年に中国でEVの量産化に乗り出す方針だ。20年代前半までにEVに搭載する「全固体電池」を実用化する目標も掲げている。

 トヨタは今年9月、マツダ、デンソーとEVの基幹技術を開発する新会社を設立するなど、既にEVへの対応を強化している。ただ、社内では「HVより価格や航続距離で劣るEVが本当に普及するのか」(幹部)などの疑念がある。何が次世代エコカーの本命になるか、手探り状態にある。

 プリウスで築いた「環境のトヨタ」のイメージを維持・発展させることができるのか。市場の変化、ニーズに合わせた柔軟な対応力が今後も問われそうだ。

 ◇キーワード・全固体電池

 正極と負極をつなぐ電解質にセラミックなどの固体を使う次世代電池。現在のHVやEVに搭載されているリチウムイオン電池には、電解質に可燃性の液体を使っている。それに比べ、液漏れの危険がなく、燃焼しにくいなど安全面で利点があるほか、電池の性能アップ、長寿命化が期待されている。

 ガソリン車やHVより短いEVの航続距離を大幅に伸ばし、現在は30分程度必要とされるフル充電の時間を数分に短縮することが可能とされる。まだ実用化されていないが、トヨタは既に試作品を完成させており、今後はコスト削減や量産技術の確立が課題という。独自動車部品大手ボッシュやパナソニック、韓国サムスンなども開発を進めている。

最終更新:12/5(火) 23:44
毎日新聞