ここから本文です

家長の視線と後輩の一言で気付いた、サッカー撮影の奥深さ

12/5(火) 16:48配信

スポーツ報知

 サッカー取材で重要なシーンを撮り逃した。11月29日に埼玉スタジアムで開催されたJ1浦和・川崎戦。前半14分、川崎・家長昭博の右クロスにFW小林悠が合わせ決勝ゴール。フロンターレにとってこの試合は、首位・鹿島からJリーグ逆転優勝の可能性を残す大きな1番だった。さらにこの日は、ハリルホジッチ監督が東アジア選手権に小林らを選出しており「逆転Vに望み」「ハリル御前弾」といった大きな原稿になることは間違いない。真っ青になった。

 原因は、家長を見すぎてしまったこと。強い低めのクロスをシュートだと思い込んだ。しかしボールがゴールに向かっていない。すると私の右から滑り込んだ小林が飛び込んできた。反応が遅れタイミングはばっちりだが痛恨のピンボケ。長年サッカー取材をしてきたベテランデスクから「家長を見過ぎただろ」と見破られた。別のデスクからは「ボールを持つ選手の視線を見ると、駆け上がる選手にボールを合わせるか予想がつく」と助言を受けた。確かに一瞬、家長の目は小林の方向に向けていた。「難しく考えず、(駆け上がる)小林に切り替えるべきだった」と振り返っていたとき、後輩カメラマンが抑えた印象に残る写真を思い出した。

 10月10日のハイチ戦。左サイドからの車屋紳太郎のクロスがゴール前でこぼれた。それを酒井高徳がシュートし、さらに滑り込んだ香川真司が右足でコースを変えて得点した。カメラマン泣かせのゴールだが、後輩は逃さなかった。「偶然です」と答える後輩は「(試合展開を見て)、香川が原稿になると直感し見続けていました」と続けた。確かに日本代表は精彩を欠き、香川も動きは悪かった。不調のエースが原稿になる可能性は高かった。

 この後輩は無類の相撲好き。サッカーと相撲はまったく動きも違うが、5月のU20W杯(韓国)を取材して培ったのだという。相撲マイスター曰く「力士の得意技は頭に入ってはいますが、直接役だったことはありません。技が決まりそうなところのみでシャッターを切るようにしている」結局は直感だという。担当を続けると各チームのシステムや選手の動きを見てシャッターを押すこともあり、それで得た写真も少なくない。一方で予想や熟考をもとに、直感を磨くのが、さらに上の領域なのかもしれない。

 来年のロシアW杯1次リーグの相手も決まり、9日からはじまる東アジア選手権は国内組の大きなアピールの場となる。Jリーグで逆転優勝し、得点王にもなった小林も3月以来となるメンバーに入り「すごく久しぶりなので刺激的。気持ちを切りかえて、自分のプレーを出し切りたい」と話すなど、各選手鼻息は荒い。ひたむきにプレーする選手とゴールシーン。今度こそ難しく考えず、失敗せずに今年の自分を締めたい。(記者コラム・写真部 竜田 卓)

最終更新:12/5(火) 16:59
スポーツ報知

スポーツナビ サッカー情報