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<イエメン>深まる混迷 前大統領殺害で内戦の構図複雑化

12/5(火) 21:49配信

毎日新聞

 【カイロ篠田航一】内戦が続くイエメンで4日、イランの支援を受けるイスラム教シーア派系武装組織フーシがサレハ前大統領を殺害した。もともとサレハ氏とフーシは連携し、敵対するサウジアラビアに対抗。だがサレハ氏が2日に「サウジと和平協議の用意がある」と表明したことをフーシが「裏切り」と受け止め、一転してサレハ氏排除に踏み切った形だ。サレハ氏殺害で内戦の構図は複雑化し、混乱は一層深まる見通しだ。

 イエメンでは2014年夏以降、サウジが支援するハディ暫定政権とイランが支援するフーシの対立が激化。首都サヌアなど北部を掌握したフーシの排除を目指し、サウジ主導のアラブ諸国連合軍が15年3月に軍事介入を開始し、本格的な内戦となった。中東で覇権争いを繰り広げるサウジとイランの事実上の「代理戦争」の様相を呈している。

 フーシ指導者のアブドルマリク・フーシ氏は4日、「裏切り者の陰謀に勝利した」と宣言し、サウジ側への寝返りを試みたサレハ氏の殺害を正当化。さらに敵対するサウジとアラブ首長国連邦(UAE)を名指しし、「両国に投資する国は、今はやめた方がいい」と述べ、両国への攻撃を続ける考えを示した。

 フーシは11月、サウジの首都リヤドの国際空港にミサイルを発射し、サウジが迎撃。今月3日にはUAEで建設中の原発もミサイル攻撃したと主張したが、UAEは「攻撃の事実はない」と否定している。

 中東のメディアによると、サウジは最近、支援するハディ暫定政権の指導力欠如に失望。フーシを弱体化させるため、かわりにサレハ氏に接近して切り崩しを図っていたという。今回のサレハ氏殺害でサウジは「取引」の相手を失い、今後は一層フーシの勢いが増す状況も予想される。

最終更新:12/5(火) 21:52
毎日新聞