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「出国税」の使い道はどうすべき?:若者の海外旅行促進に向けた提案募集中

2017/12/5(火) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

日本を出国する旅行者らを対象に、「出国税」として1人当たり1000円を徴収する方向で検討が進められている。安倍政権は観光振興を成長戦略の柱に位置づけており、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に訪日客を4000万人に増やす目標を掲げている。

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だが、旅行業界からはその目標達成だけでなく、日本人の海外旅行に水を差すとの懸念の声も上がっている。出国税は必要なのか。その使途はどうすべきか。日本旅行業協会(JATA)理事・事務局長の越智良典氏に話を聞いた。

「出国税」がもっとも合理的

Business Insider Japan(以下、BI):現在検討されている出国税について、どのような懸念を抱いているか。「出国税」が出てきた経緯も含めて教えてください。

越智良典氏(以下、越智):日本が観光先進国を目指していく中で、財源をある程度確保していろんな施策をしていくべきだ、というのは2017年4月時点で決まっており、今の国の財政規律の中では、新たな財源をつくり出していく必要がある、というのも総論としてまとまっていた。

今インバウンド(訪日外国人客)の需要がどんどん増えてきており、首相官邸のリーダーシップでビザ取得の簡易化や免税の拡充などを行い、成果も出してきた。インバウンドをさらに伸ばすためにも早く財源を確保し、施策を実施していくべきだ、という意見に反対する人もいない。

あとはどうやるかという話。

一つの懸念は、一般財源化(いかなる目的にも使える財源)してしまうのではないかという点。そうなってしまっては、他の用途に使われてしまい、頑張って集めても意味がない。きちんとひも付けし、観光庁が使えるようになるのか。法律で明確にしてほしいと思っている。

BI:具体的には財源をどう集めるのですか。

越智:政府の有識者会議で提案したのは4つの案だ。宿泊税と航空税、出国税(もしくは入国税)、ESTA(電子渡航認証システム)。

1.宿泊税-ホテルや旅館に宿泊する際に課税される法定外目的税で、東京都・大阪府が実施、京都市も検討している。
2.航空税-ヨーロッパ諸国が導入し、クラスや移動距離などによって課税額が異なる。
3.出国税(入国税)-韓国やオーストラリアなどが導入。出国/入国する際に課税。日本で2015年7月に導入された「出国税」は国外に移住する富裕層の資産に対する課税制度(国外転出時課税制度)でこれとは異なる。
4.ESTA(電子渡航認証システム)-アメリカが導入。外国人が短期の観光や商用のためにビザなしでアメリカに渡航する際に必要で、14ドルを徴収している。4ドルはセキュリティ対策に、10ドルは観光振興に使われている。

われわれとしては、税を取られた人たちが最終的に利益を受けることを考えると、インバウンドから徴収するESTAが一番良いのではないかと考えた。アメリカは治安の関係から2009年に導入したが、日本もオリンピック・パラリンピックがある。

宿泊税は、主要都市は宿泊施設の稼働率が高いが、地方は稼働率が平均で3割ぐらいしかなく、負担が大きい。

航空税は、クラスや移動距離などによって課税額が異なり、富裕層に対するぜいたく税といった性格がある。ただ日本では、国内線まで含めると需要に影響が大きくなじみにくいのではないかと、旅行会社も反対した。

ESTAはビザが必要ない国の人たちから徴収するが、そういう国からだけ課税するのは説明が難しい。

そうなると、出国税しか選択肢が残らない。「訪日客の外国人だけ対象にすべきでは?」いう意見も出たが、その中にはビザを相互免除している国もある。それなのに、日本人だけ除くとなると国際的に説明がつかないというのが観光庁の主張だ。

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最終更新:2017/12/5(火) 12:10
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