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一人ひとりの足に寄り添う、おしゃれな整形医療靴

12/5(火) 17:56配信

ニュースイッチ

顧客は病気で足に問題を抱えている人が多い

 病気や事故から足に合う靴がなく、歩くことに不自由を感じる人は多い。医療目的の靴に違和感があったり、あか抜けなかったりして「履きたくない」という人たちのために起業した。おしゃれで満足できる履き心地の「整形医療靴」を受注生産する。

 代表の菅野ミキはもともとリハビリメークに関心があったが、高校生の時に国家資格の「義肢装具士」を知り専門学校に進学。資格を取得し、京都の義肢装具メーカーに就職した。そこで子ども向けを担当。見た目が気に入らないと装着してくれず、ベルトの色をカラフルにするなど工夫を繰り返した。一方で会社にいては、自由に作れないもどかしさも感じた。

 菅野の兄は靴職人。実家で通常のオーダー靴の工房を開いていた。そこで、兄に「おしゃれな医療靴を作ってほしい」と相談。2014年に工房へ入社した。16年には工房横に、整形医療靴の製造販売に特化した「&MIKI(アンドミキ)」を立ち上げた。

 40代の女性会社員はリウマチで足の親指が外側に出て、痛みもあり歩きづらかった。だが、「仕事柄、どうしてもパンプスを履かないといけない」。そこで菅野は、甲の一部分だけ面ファスナーを採用。面ファスナーを外しても歩けるデザインにした。一般の整形医療靴のようなゴツゴツした感じはなく、市販のかわいらしいデザインに近づけたことで、女性会社員は喜んでくれたという。

 脳梗塞から片方の足首が変形し歩行が困難になった男性には、皮のカッティングを変更して左右の靴の違いが分からないようにした。

 顧客は病気で足に問題を抱えている人が多いため、柔らかな皮革、抗菌性のある素材を使うなどの配慮も欠かさない。

歩行が困難な人にとって救世主のような存在

 整形医療靴は病院の処方箋があれば保険を適用して製作できる。自費だと7万5000―13万円程度。ホームページと口コミで顧客は増え、一足作った人が「次はブーツが欲しい」と再依頼してくる。この1年、さまざまな技術を蓄積できたため、より多くの人の役に立てるようセミオーダータイプの製品化も検討している。

 菅野は言う。「市場にあるものと比べて、ビジュアルと機能性を兼ね備えた価値のある靴を作っていきたい」。歩行が困難な人にとって、救世主のような存在だ。
(敬称略)

日刊工業新聞姫路支局・丸山美和

最終更新:12/5(火) 17:56
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