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「漂着ごみ」農地の復旧阻む 産廃扱い、処理は自己負担 九州豪雨 トラック2台分山積する畑も 福岡県朝倉市

12/5(火) 11:06配信

西日本新聞

 九州豪雨で大きな被害を受けた福岡県朝倉市で、土砂や流木とともに田畑に流れ着いた「漂着ごみ」の処理が進まず、農地の復旧に影響が出ている。住家への漂着ごみは「災害ごみ」として公費処理できるが、農地のごみは法律上「産業廃棄物」。災害ごみ集積場で受け入れられず、処理費用も自己負担となっているため、処理をためらう農家の田畑では山積みされた状態になっている。朝倉市は農家の負担軽減に向け、公費処理の検討を始めた。

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 同市によると、農地の漂着ごみの総量は不明だが、被災した農地や農業用施設は約9千カ所にも上る。朝倉市古毛にある専業農家仲山清喜さん(65)のネギ畑ではバケツ、ポリ袋、廃材、子ども用おもちゃなど軽トラック2台分の漂着ごみが出てきた。農業ボランティアによると、市内各地の農地で、同様に漂着ごみが掘り出され、そのまま留め置かれているという。

 漂着ごみ問題が顕在化したのは、農地復旧を担う農業ボランティアの活動が本格化した11月ごろ。農地のごみをボランティアが市の集積場に持ち込んだところ、「産廃に当たる」(市環境課)と引き取りを拒まれ、市に相談が寄せられたのがきっかけだった。

8月下旬以降、廃棄物処理法を厳格適用

 市の説明では、豪雨直後は漂着ごみも災害ごみとみなして処分したが、災害ごみの処理が一段落したとして、8月下旬以降、廃棄物処理法を厳格適用し、農地の漂着ごみを産廃として取り扱うようにした。

 このため、その後見つかった漂着ごみは災害ごみの集積場に運び込めず、田畑が被災した農家は漂着ごみの処理費の負担も強いられる状況になった。産廃の運搬や保管などは許可を受けた業者しかできず、農家には産廃業者への処理依頼が必要という。

 森田俊介市長は「(処理費用負担に関し)国の補助事業を探すが、まずは市単独予算での実施も仕方がない」と説明。処理方法に関しても「国や県に協力を求め、どういう方法が可能かを模索している」(森田市長)としている。

「農地復旧の遅れ、農家の収入減招く」

 JA筑前あさくら農業ボランティアセンターの川崎由香子さんは「農地復旧の遅れは農家の収入減を招く。次の作物を作れるように、仮置き場ができないか」と提案している。

 九州豪雨で被災した福岡県東峰村や大分県日田市では、漂着ごみの処理は災害後の一定期間で終えており、同様の問題は起きていない。
=2017/12/05付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:12/5(火) 11:06
西日本新聞