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JFEHD副社長:中国リスク再燃「大きくはない」、鉄鋼削減進む

12/5(火) 8:00配信

Bloomberg

JFEホールディングスの岡田伸一副社長は、中国からの鋼材輸出の増加によって市況が低下し、収益の採算悪化を招くリスクの再燃について「大きくはない」との見方を示した。

岡田副社長はインタビューで「中国での鉄鋼生産能力の削減は積極的に取り組んでいる印象」と指摘。大気汚染対策で主要都市における製鉄所の操業制限が11月からは特に顕著になっているともいい、「環境問題に厳しい河北省などでは稼働率がかなり下がっている」。

中国の月間の粗鋼生産量は高水準にあるが、鋼材在庫の水準は「相当低い」。同国内の需要は堅調として「アジアに対する輸出ドライブがかかり、われわれの輸出マージンが圧縮されるリスクは今のところ大きくはない」と述べた。

需給改善を背景に中国での熱延鋼板のスポット価格は上昇。原料である鉄鉱石や石炭の価格を差し引いたスプレッドと呼ぶ利ざやも上昇しており収益環境は改善している。中国の製鉄所全体の損益分岐点となるスプレッドは1トン当たり160ドル程度と推測しており、その水準を大きく上回る。

岡田副社長は「2014年、15年であれば中国は見境なく増産していたが、今はそうなっていない」と説明。「環境問題も含めてそうした増産を許さず、中国政府のグリップが効いている」との見方を示した。

中国の鋼材輸出量は10月まで15カ月連続で減少。前期(17年3月期)まで輸出におけるスプレッド低下が日本の鉄鋼各社の収益を圧迫していたが、今期はスプレッド改善が収益を押し上げる。

JFEHDの18年3月期業績は下期にスプレッド改善効果で上期と比べて150億円の経常利益の押し上げを見込む。岡田副社長は現状の輸出環境が続けばさらなる増益が見込めるとの認識を示す。一方、原料炭の主産地であるオーストラリアへのサイクロン襲来などで価格が急騰する懸念もあるとして楽観はしていないとも述べた。

製鉄所の競争力強化が最優先

JFEHDは来期から新中期経営計画を開始する。「国内の鉄鋼需要は今後3年間は強さが継続するが、その後は少子化の影響もあり減少していく可能性がある」と指摘。「先々の需要減を考えれば、基幹製鉄所のコスト競争力を徹底的に高めることが最優先課題になる」と述べ、生産性を高めるための設備投資を前倒しで行っていく考えを示した。

一方、合弁事業を展開しているベトナムやインドなど海外での利益成長の取り込みを狙う。19年稼働を予定しているメキシコの自動車用鋼板工場の合弁相手である米国最大の鉄鋼メーカー、ニューコアとは米国においても共同で事業展開できないか検討を進める方針。

神戸製鋼所や三菱マテリアルなど素材産業での製品データ改ざん問題が相次ぐ中、品質管理体制については、各製鉄所で品質保証を担当する部署を所長直轄としていたり、昨年にはJFEスチール本体に品質管理の担当部署を設置したりするなど「客観的な立場でけん制を効かせやすくしている」と説明。「基本的には各事業会社ごとにきっちりと、止めどなくやるしかない」と述べた。

Ichiro Suzuki, Masumi Suga

最終更新:12/5(火) 8:00
Bloomberg