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“イチキュッパ”の異様コスパ。ドンキの激安14.1型フルHDノートを検証

12/6(水) 6:00配信

Impress Watch

 ドン・キホーテは、税別19,800円の14.1型ノートPC「MUGA ストイックPC」を12月1日より販売開始した。昨年(2016年)は同時期に同価格の10.1型2in1を「ジブン専用PC&タブレット KNWL10K-SR」を発表したが、今回のノートPCはその第2弾に相当する。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

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■昨年の2in1より細部がパワーアップ

 昨年に本連載でも紹介した「ジブン専用PC&タブレット」は、価格と内容でかなりの注目を集めたキーボードが着脱可能な2in1だったが(ドンキのキーボード付き2万円2in1を実際に使ってみた)、今回の「MUGA ストイックPC」はクラムシェルとなっている。しかし価格は同様に税別19,800円であり、業界的に見れば破格値だろう。

 海外でも同価格帯で同性能は結構あるものの、本機は技適を取得し、ACアダプタにはPSEマークありと、きっちり国内対応したものだ。それでこの価格というのは、同業他社にとってある意味脅威かもしれない。

 おもな仕様は以下のとおり。

 プロセッサはAtom x5-Z8350。4コア4スレッドでクロックは1.44GHzから最大1.92GHz。キャッシュは2MBでSDPは2W。ジブン専用PC&タブレットはAtom x5-Z8300だったので若干パワーアップしている。

 メモリはDDR3L-RS 1600で2GB、ストレージはeMMCで32GB。OSは64bit版のWindows 10 Home。このあたりの構成は同じだ。ジブン専用PC&タブレットのレビューで、少し価格がアップしてもいいのでメモリは4GBにしてほしいと書いたが、その願いは叶わず。今回も“イチキュッパ”の値段にこだわったのだろう。来年(2018年)こそ4GB/64GBの倍増に期待したい。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel HD Graphics 400。外部出力用にMini HDMIを装備。ディスプレイは、14.1型IPS式で非光沢のフルHD(1,920×1,080ドット)と、10.1型IPS式1,280×800ドットから大幅にアップ。ただしタッチ操作には非対応だ。

 ネットワーク通信機能はIEEE 802.11n対応、Bluetooth 4.0。有線LANは非搭載と変わらず。

 そのほかのインターフェイスは、USB 2.0×1、USB 3.0×1、30万画素カメラ、SDカードスロット、音声入出力。ここの変更点はUSB 2.0×2からUSB 3.0/2.0へとうれしい改善となる。Mini HDMIに外部ディスプレイ、USB 3.0にストレージを接続し、薄型デスクトップPCとして使うときに重宝する。逆に300万画素相当の背面カメラはなくなっている。

 サイズは約329×219×20mm、重量約1.2kg。バッテリ駆動時間は約7時間。サイズと重量は10.1型2in1なので14.1型ノートPCなので大きく重くなったものの、その分バッテリ駆動時間は、1時間ほど延びている。また標準でKingsoft WPS Officeをプリインストールする。

 以下、製品写真を掲載しているが、少なくとも見栄えに関しては、何も情報がなければ、まさかイチキュッパとは思えない筐体だ。いい意味で何のひねりもない普通の14.1型ノートPC。しかし価格が価格であり、それ相応のインパクトがある。

 パッケージは昨年のジブン専用PC&タブレットが“おもちゃっぽかった”のに対し、PC系では一般的と言えそうなデザインに変更された。これは逆に少し拍子抜けで、今度は“家電っぽく”するといった工夫があっても良かった気がする。

 筐体はすべて同じ質感のシルバーで非常にシンプル。天板にロゴすらない。素材はアルミニウムではなくプラスチックだが、写真からもわかるように、あまりチープな感じはない。重量は実測で1,254g。14.1型と少し大きめの分、持ち上げると軽く感じる。

 本体前面は、パネル周辺、上左右が狭額縁っぽい。またこの関係でカメラは上中央ではなく左下にある。底面は手前左右にステレオスピーカー。技適マークもある。

 左側面に電源LED、電源入力、USB 3.0、Mini HDMI。右側面に音声入出力、USB 2.0、SDカードスロットを配置。結構薄いのがわかる。付属のACアダプタは、サイズが約60×40×30mm(幅×奥行き×高さ)、重量88g、出力5V/2,400mA。写真からはわかりにくいが、PSEマークもある。

 価格的に心配していた14.1型ディスプレイは、非光沢で見やすく、IPS式なので視野角も広い。明るさも十分。発色は少し黄色っぽい(色温度が低い)ものの、これは写真用途などにあわせたのかもしれない。コントラストも十分確保されている。

 もちろんすべてにおいてハイエンドに搭載しているパネルとは比較にならないが、価格を考慮すれば十分合格点。全画面が黒になったときに若干のムラが出るが、これくらいは許容範囲だろう。

 キーボードはテンキーなしのアイソレーションタイプだ。14.1型なのでフットプリントも十分あり、いびつな並びもほぼなく、キーピッチもほぼすべてのキーで19mm。

 [Delete]キーの位置が気になるものの、個人的には[Backspace]キーが定位置にあるのでとくに問題にはならない。打鍵感は硬過ぎず軟らか過ぎず。少しクリック感もある。強く押すと若干たわむが、気になるレベルではなく合格点だ。

 タッチパッドは1枚プレート型。パームレストも十分確保されており扱いやすい。ただ、標準設定だとマウスカーソルの動きが速いため、設定/デバイス/マウス/その他マウスオプション/ポインターオプションで1目盛遅くしてちょうど良くなった。この点は個人差があると思われるので、合わないときは再調整してほしい。

 振動ノイズはとくになし。発熱は後半に掲載した、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated(詳細)からもわかるように、プロセッサの温度が64℃から72℃とあまり上下せず、その分、放熱もうまくいっているのか、左側と上が少し暖かくなる程度に収まっている。

 サウンドは低音は出ずシャリシャリ鳴るものの、パワーはある。ちょい聴き程度ならいいだろう。

 以上のようにイチキュッパの価格を考えると、ルックス、パネル、キーボード/タッチパッド、サウンドなど、ごくごく普通の14.1型フルHDのノートPCに仕上がっている。「お見事!」というしかない。

■性能はAtom x5としては標準的

 OSは64bit版Windows 10 Home。Atom x5、メモリ2GB、eMMCの構成なので、サクサクとまではいかないまでも、我慢できないほどでもない。Atom搭載機としては標準的な動作速度だ。

 初回起動時のスタート画面(タブレットモード)は1画面。とくに加えられたグループ、タイルはない。デスクトップは、壁紙そのまま、左側にKingsoft WPS Officeのショートカットが並んでいる。

 ストレージはeMMC 32GBの「SanDisk DF4032」。C:ドライブのみの1パーティションで28.32GBが割り当てられ、空きは15.5GBとかなり少ない。日ごろから「ディスクのクリーンアップ」などを使い、まめに不要なファイルを削除するなど、ある程度メンテナンスしないとすぐに容量不足になりそうだ。もちろんSDカードにデータを逃がすこともできる。

 余談になるが、筆者のメインマシンは、使用領域たった24GB(Windows込み)。おもなデータがNASやクラウドにあるので、実質OSとアプリのみ。もちろんChromeを含む複数のWebブラウザ、Photoshop、Office、秀丸やVisual Studio Code、Ubuntu、ネットワークツール系など、仕事に必要なものは一式入っている。

 したがって32GBだから使いものにならないわけではなく、用途にもよるだろうが工夫次第でどうにでもなる。

 Wi-FiとBluetoothはRealtek製だ。昨年のジブン専用PC&タブレットでは、eMMCが「Generic NCard」と詳細不明だったり、Wi-FiがBroadcom製など、若干デバイスは異なっている。

 プリインストールされているソフトウェアは、「Kingsoft WPS Office」とシステム系のツールのみ。ストレージの容量が少ないため、逆に素のWindowsに近いほうが扱いやすい。

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2/Home accelerated、CrystalDiskMark。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(4コア4スレッドと条件的に問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合 4.4。プロセッサ 6.1、メモリ 5.5、グラフィックス 4.4、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.7。メモリのバンド幅は6101.64546MB/s。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedは995。

 CrystalDiskMarkは、Seq Q32T1 Read 149.8/Write 78.66、4K Q32T1 Read 34.91/Write 15.70、Seq Read 161.9/Write 74.03、4K Read 11.27/Write 14.41(MB/s)。CrystalMarkは、ALU 22343、FPU 18392、MEM 15884、HDD 20436、GDI 3243、D2D 2491、OGL 2555。

 Atom x5でeMMCなストレージなので、このクラスとしては標準的な性能。それでもwinsat formalのプロセッサが6.1あり、そこそこ使える。ストレージが遅いのが痛いところ。PCMark 8 バージョン2/Home acceleratedが1,000切っているのも同様の理由だ。参考までにGoogle Octane 2.0は6,460(Edge)だった。

 BBenchは、バッテリ節約機能オン、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。2%で電源が落ちているが、いつものバッテリ残5%で32,286秒/9時間。仕様上、約7時間なので2時間ほど上回った。ただ輝度最小だと見辛いので、実際はもう少し短くなると思われる。

 以上のようにドンキ「MUGA ストイックPC」は、非光沢の14.1型IPS式フルHDのパネルを搭載したノートPCだ。筐体、キーボード/タッチパッド、パネル、サウンド、バッテリと、ごく普通に扱える。これでイチキュッパの価格とは驚くばかり。

 Atom/メモリ2GB/ストレージ32GB構成なので、性能的にWindowsマシンとして一番下のレベル。したがってネット中心のライトな用途になるものの、そこはWindows。いろいろな使い方があるだろう。

 仕様の範囲内でとくに気になる部分もなく、逆に価格を考慮するとコストパフォーマンスは異様に高い。気楽に購入できるセカンド(サード)マシン、子供のおもちゃ、リモート端末、出張や旅先で急遽PCが必要になったときなど、いろいろなケースでぜひ試してほしい逸品と言えよう。

PC Watch,西川 和久

最終更新:12/6(水) 6:00
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