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慰安婦像問題で幹部派遣 福岡市「耳の痛いことも言う」 釜山市の認識、徐々に変化

12/6(水) 7:55配信

産経新聞

 福岡市の高島宗一郎市長は5日、姉妹都市である韓国・釜山(プサン)市の日本総領事館前に設置された慰安婦像に関し、年内にも市幹部を派遣し、懸念を伝えると正式発表した。両市の折衝の経緯をたどると、当初は日本側の反発を軽視していた釜山側が、福岡市の度重なる懸念表明によって、徐々に認識を改めたことが分かる。(中村雅和)

 日本総領事館前に昨年12月28日、民間団体が慰安婦像を設置した。

 福岡市は、像をきっかけに両国間で嫌悪感が高まることを心配した。

 特に、両市で実施する交流事業でのアクシデントを警戒した。「(日韓両国の)参加者が、現地でデモに巻き込まれたり、誹謗(ひぼう)中傷を受けることは、万が一にもあってはいけない」(高島氏)。釜山に派遣している福岡市職員などを通じて、設置直後から、懸念とともに像撤去に釜山市が尽力するよう求めた。

 ■「福岡市だけ」

 釜山側の反応は鈍かった。

 「他の姉妹都市からは、言われたことがない。福岡市だけです」

 釜山市は、山口県下関市など日本の2道県・8市町と姉妹都市協定を結んでいる。その中で、慰安婦像問題で「異議」を突きつけたのは、福岡市だけだった。

 「日本側の緊迫感が伝わっていない」(高島氏)。福岡市は幹部をたびたび訪韓させ、慰安婦像によって日本の対韓感情がどれだけ悪化しているか、繰り返し説いた。これまでの折衝回数は、10回以上になった。

 釜山市側は徐々に、問題の深刻さを認識した。

 ■「分かっている」

 釜山市議会は今年6月、慰安婦像の設置・管理を市長が行えるとする条例を定めた。日本総領事館前の慰安婦像を、市管理の「公共物」とすることを念頭に置いた条例といえる。

 だが、釜山市幹部は「総領事館前の慰安婦像は、条例の対象にならない」と福岡市に直接伝えた。現地の市議会でも7月、同様の答弁をした。

 11月半ばになると、釜山市側が「福岡側の心情は、もうよく分かっている」と伝えてきた。福岡市の働きかけが、一定の成果を上げたといえる。

 ただ、韓国の左派系市民団体やメディアを中心とする「反日」は、左派色の強い文在寅(ムン・ジェイン)政権が誕生したことで勢いづく。

 9月には、釜山市の日本総領事館前で、「日本の植民地支配下で徴用された朝鮮人労働者を象徴する像」(徴用工像)を設置する動きが明らかになった。韓国の労働組合が計画する。

 釜山市当局はこうした“世論”と、行政としての対外関係で、板挟みにある。政治が国民感情に大きく左右される「情治」の国だけに、釜山市がどう動くかは予断を許さない。

 高島氏は「交流事業で市民の安全を確保するには、耳の痛いことも伝えるべきだ。釜山と福岡には交流の歴史があり、意思疎通も可能となっている。日本の世論を伝える取り組みが大切だ」と述べた。

最終更新:12/6(水) 9:59
産経新聞