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「Windows on Snapdragon」正式ローンチ、ASUSとHPが対応製品を発表 Snapdragon 845も披露

12/6(水) 15:16配信

ITmedia Mobile

 米Qualcommは12月5日(米国時間)、米ハワイ州マウイ島で開催している「Snapdragon Tech Summit 2017」において「Windows on Snapdragon」の正式ローンチと、次期フラグシッププロセッサの「Snapdragon 845」を発表した。同イベントには関連パートナーやOEM各社が登場し、間もなく市場に投入される最新製品をアピールしている。

Snapdragon 845のチップ

●1年の準備期間を経て「Windows on Snapdragon」がついに登場

 デビュー10年を迎えるSnapdragonは蓄積された通信技術をもとにスマートフォンやタブレットで一定の成功を収めることができたが、Qualcommではこのプロセッサを使った次なる成長機会をうかがっているのは、10月に開催された「Qualcomm 4G/5G Summit」でも紹介した通りだ。

 4つの新しい重点分野の1つである「モバイルPC」のカテゴリーは、現在Intelが圧倒的シェアを誇るPCプロセッサとの競合となる。パートナー企業は当然ながらWindows OSを擁するMicrosoftということになるが、すでに終息しつつあるWindows 10 Mobile、大きなチャレンジとなるデータセンター向けプロセッサ「Centriq 2400」、そして今回の「Windows on Snapdragon(WoS)」が続く形となる。

 WoSに関する取り組みはちょうど1年前にさかのぼる。2016年12月初旬に中国の深センで開催されたWinHEC Shenzhenにおいて、両社はSnapdragon 835を搭載した「WoS」の最初のコンセプトを発表した。「x86プロセッサ向けに記述されたアプリケーションであってもエミュレーションを使ってARMプロセッサであるSnapdragon上で実行できる」というもので、フル機能に対応したARM版Windows 10を搭載したPCを2017年第4四半期中に投入すると表明していた。

 それから半年後の2017年6月には、台湾の台北市で開催されたCOMPUTEX TAIPEIでMicrosoftが「Always Connected PC」構想を発表し、「eSIM」を組み合わせた「どこでも手軽にインターネット接続が楽しめるPC」をうたっている。特に、WoSとして登場するデバイスは全て「Always Connected PC」ということが明言され、実際のパフォーマンスと合わせてレファレンスデザイン上でのデモが報道陣に披露されている。

 Officeなどの一般的なアプリケーションの動作は全く問題なく、その点で不満のあった以前のARM版PCである「Surface RT」とは違って“使える”点があらためて強調されていた。

 そして今回、満を持してのWoSの正式ローンチとなった。基調講演のステージには米MicrosoftでWindows&デバイス部門EVPのTerry Myerson氏が招かれ、真のモバイルPCがもたらす変化について説明した。WoSが「2~3日充電しなくても利用が可能」という驚異的なバッテリー駆動時間を実現していることは以前にも説明されていた。

 Myerson氏は「Week of Battery Life(1週間のバッテリー駆動時間)」と表現しており、従来までの「充電なしで1日フルに使える」という持続時間をはるかに上回ることをアピールしている。米Qualcomm Technologies EVP兼Qualcomm CDMA Technologiesプレジデント Cristiano Amon氏は、携帯ネットワークによる常時接続がもたらすメリット、「従来(PC)製品の5倍以上」というスマートフォン並みの起動時間といった特徴が、新しいPCの世界を実現すると説明する。

●ASUSとHPが対応製品を発表、Lenovoは2018年1月のCESで

 では、実際に出てくるOEMの製品はどのようなものだろうか。今回のステージでは、COMPUTEX TAIPEIのタイミングで発表されていたASUS、HP、Lenovoの3社のローンチパートナーのうち、ASUSとHPの2社の製品が発表されている。

 ASUSのAlways Connected PCは「ASUS NovaGo」の名称で、2-in-1型タブレットPCとなる。一般的なクラムシェル型のノートPCのようにキーボードからディスプレイを開いた状態での利用の他、LenovoのYogaシリーズのようにディスプレイを外側に360度開くことでタブレットPCとしても利用できる。

 画面はタッチ入力に対応し、付属ペンを使ってのWindows Ink、タッチパッドに搭載された指紋認証センサーを使ったWindows Helloなど、多くの機能を満載している。Gigabit LTE対応のほか、22時間連続動画再生、30日間スタンバイなど、WoSならではの特徴も備える。だが最も驚くべきはその価格で、4GBメモリ/64GBストレージの製品が599ドル(税別)、8GBメモリ/256GBストレージの製品が799ドル(税別)と、搭載している機能に比して安価に設定されている点が大きい。

 提供予定地域は米国、中国、台湾、イタリア、英国、フランス、ドイツとなっており、現在のところ日本は含まれておらず、この点で残念だ。

 2社目のHPが投入する「HP ENVY x2」は、Surfaceタイプのキーボードカバーを着脱可能なタブレットPCだ。付属ペンによるWindows Inkのほか、角度調整可能なスタンドとして機能するキーボードカバーが用意され、ASUS NovaGoと同様にSnapdragon 835を搭載してLTEネットワークが利用できる。

 バッテリー駆動時間は20時間とASUSよりも短いものの、6.9mm厚の薄型ボディーでこの持続時間を実現しており、より携帯性を重視している。同社はもともと2017年内投入は難しいと説明しており、今回のローンチイベントでも「2018年春」と述べている。提供地域や価格の発表も行われていないため、国内投入が行われるかを含めて続報を待ちたい。

 このほか、今回のイベントでは携帯キャリアである米Sprint COOのGunther Ottendorfer氏が登場し、パートナーとしてAlways Connected PC向けに同社の「無制限データ通信サービス」を提供していくことを発表している。やはり料金プランなど詳細は不明だが、実際の製品投入のタイミングであらためて発表されることになると推察する。

 そして、今回ローンチパートナーのうち唯一製品発表を行わなかったLenovoだが、同社は2018年1月9日(米国時間)にCESでのプレスカンファレンス開催を予告しており、ここで正式発表を行うことになるとAmon氏は説明している。いずれにせよ、発表自体は2017年内だったものの、これらWoSのAlways Connected PCが活躍するのは2018年前半以降となりそうだ。

 さらにイベントでは米Advanced Micro Devices(AMD)のクライアントコンピューティング担当ジェネラルマネージャー兼コーポレートバイスプレジデントのKevin Lensing氏が登場し、同社のRyzenモバイルプロセッサを搭載したAlways Connected PCでQualcommのモデムチップを採用することを表明している。COMPUTEX TAIPEIではAlways Connected PCのモデム提供メーカーとしてはQualcommとともにIntelの名前が挙げられており、AMDでは競合上Qualcomm側を採用するという判断が働いたのだと考えられる。

●次期フラグシッププロセッサ「Snapdragon 845」を披露

 今回、Snapdragon Tech Summitの開催1日目ではチラ見せのみの扱いとなったが、次期フラグシッププロセッサである「Snapdragon 845」も紹介された。詳細は2日目以降にあらためて紹介されるので、追ってレポートしていく。

 ステージ上には製造担当として韓国Samsung Electronicsのファウンダリビジネス担当ジェネラルマネージャー兼プレジデントのES Jung氏や、同プロセッサを採用したスマートフォンを投入するローンチパートナーの1社である中国Xiaomiの創業者で会長兼CEOの雷軍(Lei Jun)氏が登壇するなど、早くも2018年以降に向けた話題作りが始まっている印象だ。

最終更新:12/6(水) 15:16
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