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スパコン開発社長ら逮捕 中国に強い対抗心「2番では絶対ダメ」

12/6(水) 7:55配信

産経新聞

 「来年は世界トップを目指す」。逮捕された斉藤元章容疑者は、大企業をしのぐ高性能スパコンの開発で一躍脚光を浴び、「2番では絶対にダメ」と、世界最先端を走る中国への強烈な対抗心をあらわにしていた。国の有識者会議の委員も務めていたが、逮捕容疑は国を欺いた詐欺。業界からは日本のスパコン開発への影響を懸念する声も出た。

 自著などによると、斉藤容疑者は新潟大医学部を卒業後、東大大学院へ進んだ。平成9年に米シリコンバレーで起業し、23年の東日本大震災を機にスパコン業界に参入した。

 業界関係者は「切れ者、野心家という印象。なぜ足を踏み外してしまったのか不思議だ。開発したスパコン自体に問題があるのではなく、今回の事件で日本のスパコン開発がつまずくと困る」と顔を曇らせる。

 スパコンの計算速度の世界ランキングでは、理化学研究所の「京(けい)」が平成23年に1位となったが、その後は米国や中国に首位を奪われ日本は後退。斉藤容疑者らが共同開発した「暁光」は先月の最新ランクで国内トップに立ち、世界ランクも69位から一気に4位に躍進したばかりだった。

 斉藤容疑者は、産経新聞の取材に対し、開発に巨額の予算を投入し、計算速度で独走する中国に対抗する必要性を強調し、「日本は次世代型スパコンの開発で中国に最大で5年遅れる可能性があり、その間に次々世代機を作られてしまうだろう。大きな危機だ」と話していた。

 月刊誌「正論」の今年2月号への寄稿でも、「最初に次世代型スパコンを稼働させ始めた国が、圧倒的に優位な立場を得てあらゆるものを『総取り』できてしまうことになる」などとして、「2番では絶対にダメ」と訴えていた。

 また、2年後に世界初の次世代型スパコンを完成させたいとし、「そのための資金としては300億円程度が必要ですので、その手当ても考えなくてはなりません」と記していた。

 最近はメディアにも多数出演していたほか、28年に開かれたデフレ脱却や経済再生を議論する内閣府の有識者会議「2030年展望と改革タスクフォース」の委員も務めていた。元委員の一人は「会議の中で、スパコンや人工知能(AI)の進化で労働や食料、エネルギーの問題から人類は解放される可能性があるという過激な将来予測をしていて、ついていくことができなかった」と話した。

最終更新:12/6(水) 7:55
産経新聞