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<マードック氏>事業の一部売却検討 ディズニーなどと交渉

12/6(水) 19:40配信

毎日新聞

 【ワシントン清水憲司】度重なる買収攻勢で「メディア帝国」を築いたルパート・マードック氏(86)が、保有事業の一部売却を検討している。米メディアによると、米メディア・娯楽大手ウォルト・ディズニーなどと交渉中で、来週中にも合意する可能性がある。マードック家の「代替わり」も絡んでいる模様で、ディズニーに売却する場合にはマードック氏の息子をディズニーの次期トップ候補にする案も浮上している。

 売却を検討しているのは、マードック氏が会長を務める米メディア大手「21世紀フォックス」傘下の映画スタジオ「20世紀フォックス」や、雑誌・番組制作「ナショナルジオグラフィック」など。米CNBCテレビは5日、ディズニーとの合意に近づいていると報じた。売却額は600億ドル(約6.7兆円)を超えるとみられている。米ケーブルテレビ大手コムキャストも関心を示しているが、ディズニーとの交渉が進展しているという。21世紀フォックスのニュース・放送部門は売却対象に含まれない見通し。

 背景には、ネットフリックスなどの動画配信サービスが台頭し、番組制作でも高い評価を得つつあるなど、メディア業界の環境が大きく変わったことがある。アップルやフェイスブックも独自の番組制作に乗り出している。新興勢力に主導権を奪われることを警戒するディズニーは8月、自前の配信サービスを開始すると発表。番組の制作・供給体制の強化を急いでおり、今回のマードック氏側との交渉もディズニー側が持ちかけたという。

 ただ、今回の一件でマードック氏が進めてきたメディア・コングロマリット(複合企業体)戦略が「縮小」に転じたとは言い切れないようだ。ディズニーではロバート・アイガー会長兼最高経営責任者(CEO)が2019年の退任を表明しているが、後継者は定まっていない。米メディアによると、ディズニーによる事業買収が決まった場合、マードック氏の息子ジェームズ氏がディズニー入りし、アイガー氏の後継者候補にする案もあるという。

 【キーワード】ルパード・マードック氏

 1931年、オーストラリア生まれ。父親から受け継いだ地方紙を基盤に買収戦略で事業を拡大。60年代以降、英紙タイムズや米紙ニューヨーク・ポスト、米映画製作大手「20世紀フォックス」などを次々に傘下に収めた。2007年には米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの発行元、ダウ・ジョーンズの買収にも成功。「メディア帝国」と呼ばれる巨大グループ「21世紀フォックス」「ニューズ・コープ」を築いた。

 96年には日本でテレビ朝日の買収を仕掛けた。失敗したものの、日本のメディア業界にも波紋を広げた。86歳と高齢になったこともあり、近年は息子2人に権限を委譲し、共同でグループを率いる体制に移行した。

最終更新:12/6(水) 21:07
毎日新聞