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8Kは普及する? 産業&エンタメの可能性、プロカメラマンはデル8K液晶で作業効率化

12/6(水) 15:29配信

Impress Watch

 デルは、8K解像度に対応した31.5型液晶ディスプレイ「UP3218K」を7月に発売したことに関連し、8映像によるメリットや、産業分野での8K活用事例、今後の可能性などについてのプレスセミナーを開催。プロカメラマンの西尾豪氏と、テクニカルジャーナリストの西川善司氏がプレゼンテーションを行なった。

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 デルが発売した「UP3218K」は、8K(7,680×4,320ドット)の液晶ディスプレイ。サイズは31.5型で、画素密度は280ppi。色彩にこだわる映像編集やグラフィックデザイナーなどのプロフェッショナルクリエイターのほか、ライフサイエンス、気象、石油・ガス探査などの産業分野での利用を見込んでいる。価格は498,800円。

 同社ディスプレイ製品マネージャーのキム サンウ氏は、「発売から4カ月が経ち、マーケットからも好評をいただいている」と紹介。Display Port 1.4×2接続により8K/60p映像も滑らかに表示できるという点を説明したほか、“ほぼ縁のない”「InfinityEdge」デザインや、4K映像の4分割表示など作業の効率化が図れる点、8K高解像度パネルにおいても輝点が1つでもあれば無償交換するサポート体制などにも触れた。

 キム氏は、UP3218Kの価格と画面サイズについて、「8.5世代マザーガラスから18面取りできる経済的なサイズで、現実的な価格にできた」と説明。テレビなどに比べて高い画素密度を長所として挙げ、8Kでも70型テレビの場合は126ppi、4Kの31.5型ディスプレイは140ppiになるのに対し、UP3218Kの280ppiは、15.6型で4Kのノートパソコン(282ppi)と同等の高密度となっている。これを活かし、高解像度なデジタルカメラやデジタルシネマカメラなどでも、元の品質を活かしたまま表示/編集作業ができるディスプレイとしてアピール。加えて、科学分野などの産業向けの活用にも期待を寄せた。

■テレビ、デザイン、産業などでの8K活用の可能性

 本誌連載「大画面☆マニア」を手掛けるテクニカルジャーナリストの西川善司氏が、ゲストスピーカーとして登壇。「産業分野における8Kの活用事例と可能性」について説明し、放送やVR、ゲームなど幅広い分野における8Kの現状と今後の予測などを語った。

 テレビとしての8Kは、'18年12月に新4K8K衛星放送が日本で始まるが、世界的にも8K放送は日本のNHKだけという点などを挙げ、「展望が不明瞭」とした一方で、映像規格としては国際規格ITU-R Rec BT.2020で定義されるUltra HDの一つに定められていることを説明。テレビとしての規格であるが、これを基準として様々な製品が開発されるとの見方を示した。

 放送などの業務用では、既に8Kカムコーダーや、プロジェクタ、 HEVCエンコーダなど開発が進んでいることを紹介。サイネージや、CADなどのデザイン、美術作品のアーカイブ用途などの事例にも触れた。

 医療・科学分野では、最新の内視鏡手術で活用され、「70インチの8Kで、人の神経の網が見て取れ、それを避けながら施術できる」と医師がコメントしているという。また、高解像度コンテンツの一つとして、NASAのバックアップによりアメリカ自然史博物館(American Museum of Natural History)が中心となって提供している世界最大規模の3次元宇宙モデルデータセット「Digital Universe」を紹介。これをデルのUP3218Kで見ると、星がつぶれずに表現され、それぞれの星の大きさなどもより正確に表示できるという。Digital Universeは無償版も公開されている。

 エンターテインメント分野では、既に8KのYouTubeコンテンツが公開されているほか、8Kで没入感が高まるというVRや、PCを中心としたゲームでの活用にも可能性があることを示した。

 “本命”としては、PC/ワークステーション分野を挙げ、「PCモニターは高解像度化して困ることはない」とした。また、周辺技術としても、8K/120fps対応のHDMI 2.1規格や、8K/60p対応のDispay Port 1.4に触れたほか、2020年の導入が見込まれる5G(第5世代移動通信方式)においても、10Gbpsクラスという高速伝送のほか、1ms台という低遅延によって、携帯電話網を使ったVR/AR/MRについても期待を寄せ、「スマートフォンベースのVRでも、ダウンロードではなくサーバーからの配信を受けながらVRが楽しめる」とメリットを紹介した。

 「8Kは普及するか」について西川氏は、フルHDや4K、3Dテレビなどの技術/製品がたどってきた道のりを振り返りつつ「歴史的に、初物が出て5~7年経つと、当たり前になるか、廃れる」と述べ、2017年に初の8K対応液晶テレビ(シャープのAQUOS LC-70X500)」、8KディスプレイのUP3218Kが登場したことから、「8Kの運命の行方は、2024年には結果が出ているかも」としつつ、映像技術やパネルの進化、デジカメの高解像度化などを背景とし、「今の4Kくらいの立ち位置にはなるだろう」との見解を述べた。

■プロカメラマンが8K液晶で効率化。「カメラの高画素を体感できる」

 プロカメラマンとして広告撮影や肖像写真などを中心に手掛け、カメラ雑誌での執筆やセミナー講師なども務める西尾豪氏は、「8Kがもたらす編集効率」について説明。

 4,000万画素以上など、カメラの高解像度化は先行しているのに対し、多くのディスプレイでは等倍表示するために画面を拡大しなければならず、作業のうち「全体の構図確認」と「等倍表示してピント確認」を繰り返すことは効率が悪いと指摘。「8Kで確認すると、まつげ1本1本まで解像しているのが見える。プロカメラマンが使うと効率が上がり、ミスが減った」とし、実感としても「高解像モニターで写真を見るのは楽しい。カメラの高画素を体感できるとても良い方法」とした。

 また、プロだけでなくハイアマチュアの写真愛好家に向けても、「(拡大して見るだけでなく)全体を確認するのが写真が上手になるポイント。自分の写真を変えることのできるモニターだと思う」と述べた。

AV Watch,中林暁

最終更新:12/6(水) 15:29
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