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<露選手団除外決定>平昌、勢力図に影響 選手ら賛同と困惑

12/6(水) 20:44配信

毎日新聞

 国際オリンピック委員会(IOC)が5日の理事会で、平昌五輪からロシア選手団を除外するものの、ドーピングに関与していないロシア選手は個人資格での出場を認めると決めた。2カ月後に迫った平昌五輪を目指す関係者からは、賛同や困惑の声が上がった。【平本泰章、福田智沙】

 ロシアに有力選手が多いフィギュアスケートは、名古屋市で7日にグランプリ(GP)ファイナルが開幕する。ネーサン・チェン(米国)は「大会は全ての人が競えてすばらしいものとなる。同時に、不正して勝つのはかなり不公平。決定を支持する」と毅然(きぜん)と話した。女子の樋口新葉(東京・日本橋女学館高)は同世代で世界女王のエフゲニア・メドベージェワ(ロシア)と親交があり、一緒に五輪に出場することを望みながらも「そのことはあまり考えすぎないようにしたい」と少し複雑そうだった。この日の公式練習に参加したロシアの男子選手2人は取材に応じず、女子選手は出番が8日からのため公式練習の時点では来日していなかった。

 6日に五輪のメンバーを発表したアイスホッケー女子日本代表は24、25日に長野市でロシア代表との壮行試合を予定している。日本アイスホッケー連盟の八反田孝行強化本部長は、現時点では予定通り開催する方向であることを強調しながらも「もしロシアが来ないとなれば、強化にも大きく影響する」と渋い表情を浮かべた。世界ランキング9位の日本は、目標のメダル獲得に向けて4位のロシアを最大の敵と位置づけている。山中武司監督は「ロシアの映像の研究も進めていたが、ちょっとストップですね」と苦笑いした。

 全日本スキー連盟の皆川賢太郎競技本部長はIOCの決定を「全世界を束ねていくことと、五輪そのものの価値を担保するには必要な判断だと思う」と評価。ロシアに有力選手が多いノルディックスキー距離などは勢力図が大きく変わる可能性もあるが「日本の選手には一喜一憂せず準備してもらえれば」と話した。

 IOC委員も務める日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長 IOCはクリーンなアスリートの保護と五輪の高潔性を守るために、一つの方向性を示した。JOCは引き続きドーピング根絶に努め、日本代表選手団が最高のパフォーマンスを発揮できるよう各競技団体と準備を進める。

 ◇フィギュア、有力選手多く

 ロシアは冬季競技が強く、自国で開催した前回の2014年ソチ五輪で出場国中最多のメダル33個を獲得した。大会後の再検査でドーピング違反が判明した選手が相次ぎ、国際オリンピック委員会(IOC)がうち11個の剥奪や選手25人の失格などを発表した。しかし他にも有力選手は多く、ロシア勢の動向は平昌五輪の戦いにも大きな影響を与える。

 フィギュアスケートは五輪で団体を含む5種目が行われるが、ロシアは全種目でメダルを射程にとらえる。中でも世界女王のメドベージェワ、昨季世界ジュニア女王のザギトワの2人の争いが注目される女子は、ロシア勢が欠ければ日本勢にも表彰台に立つ可能性がふくらむ。

 ノルディックスキーの距離はソチ五輪男子50キロフリーで金メダルのレグコフ、銀のビレグジャニンら8選手がIOCから永久追放とされた。このうち3人は11月のワールドカップ(W杯)に出場して2人が1桁の順位に入り、高い実力を示していた。バイアスロン女子ではソチ五輪でリレー銀のメンバーだった2人、スケルトンでもソチ五輪男子金のトレチャコフら5人がIOCから五輪からの永久追放処分。これらの競技ではメダルの状況が一変しそうだ。

 スピードスケートでは男子500メートルの世界記録保持者のクリズニコフや、男子1500メートルで今季W杯2勝のユスコフがおり、スノーボードのアルペンでは米国から国籍変更してソチ五輪で男子2冠に輝いたワイルドらがいる。【平本泰章、江連能弘】

最終更新:12/7(木) 1:18
毎日新聞