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<米「エルサレム首都」>過激派、勢いづく恐れ

12/6(水) 21:48配信

毎日新聞

 【カイロ篠田航一】エルサレムをイスラエルの首都と認めるトランプ米大統領の決断により、中東では一般住民の抗議行動が激化し、地域の不安定化が進む事態も懸念されている。アラブ民衆の間で反米感情が極度に高まれば、イスラム過激派が勢いづく可能性もある。

 ヨルダンのアブドラ国王は今回の方針決定に先立つ今月1日、「トランプ氏が米大使館をエルサレムに移せば、中東の民衆の不満や絶望感をあおり、テロリストが自分たちの思想拡散に利用してしまう」と述べ、過激派に絶好の口実を与えてしまうと警告した。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦で米国と連携するエジプトのシシ大統領も5日、トランプ氏との電話協議で「中東情勢をこれ以上複雑化しない対応を望む」と懸念を伝えた。

 だがこうした地域不安定化への懸念は徐々に高まっている。パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスは2日、米国が大使館をエルサレムに移転した場合、「インティファーダを呼び掛ける」との声明を出しており、中東情勢は緊迫の度を増している。

 中東では現在、米軍などによるIS掃討作戦が進展しているが、最高指導者バグダディ容疑者の拘束には至っていない。イラクのメディアは今月に入り、軍の情報として「バグダディ容疑者は現在もイラクとシリア国境地帯に潜伏している」と伝えた。IS残党はパレスチナに近いエジプト・シナイ半島などに逃げ、態勢立て直しを図っているとの指摘もある。「住民の不満を吸収し、組織を拡大させる過激主義者の手法は今後も続く」(エジプトのテロ分析専門家)との見方も根強く、反米感情を利用する過激派の浸透に各国の治安当局は警戒を強める。

 トランプ氏が中東和平交渉の仲介者としての信頼を失うのは確実で、中東情勢はさらに混迷の様相を呈している。

最終更新:12/6(水) 21:59
毎日新聞