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<米「エルサレム首都認定」>分断深まる 中東アラブは失望

12/6(水) 23:07配信

毎日新聞

 1967年の第3次中東戦争でイスラエルが占領した東エルサレムにある旧市街。トランプ米大統領が示したエルサレムをイスラエルの首都と認める方針を巡り、アラブ人居住区とユダヤ人居住区では賛否が真っ二つに割れ、分断がより深まった。中東諸国の人々には失望が広まる一方、治安悪化に対する不安の声も聞かれた。【エルサレム高橋宗男、カイロ篠田航一】

 「トランプ大統領はトラブルメーカー。エルサレムはイスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒のものだ。彼はただ問題を複雑にしているだけ」。旧市街のアラブ人居住区で食器店を営むパレスチナ人のファウジ・ジュペさん(51)が話す。

 トランプ氏の方針発表をきっかけに暴力事件など治安が悪化しかねず、観光客相手の商売で生計を立てる旧市街の商店主らには客足が鈍ることも心配だ。

 Tシャツ店を経営するパレスチナ人のイスマイル・カウェスマさん(43)は「私たちには何もできない」とあきらめ顔で、「ここにいたいだけなんだ。ここが私たちの土地だから」と話した。

 エルサレム旧市街の狭い路地を進むとイスラエル国旗が目立つようになる。ユダヤ人居住区だ。画廊を経営するウディ・メリオズさん(59)は「トランプ大統領が認めようが認めまいが関係ない。ここはユダヤ人の首都。そう聖書に書いてある」と強調した。

 第3次中東戦争後、多くの国がテルアビブの大使館を閉鎖したが、やがて戻ってきたと指摘し、「国際政治は変わるが、私たちは変わらない。ここは私たちの家で、エルサレムは私たちの首都だ」と説明した。

 一方、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦でトランプ米政権と連携するエジプトの首都カイロ。携帯電話店勤務のモハメド・ハレドさん(48)は6日、「怒りが収まらない。私たちイスラム教徒は常にパレスチナと共にある。米国ではない。今回の問題で、トランプ氏がイスラム教徒を嫌っているのが一層はっきりした」と話した。

 「中東でこれ以上の騒乱は起きてほしくない」という不安の声も多い。エジプトでは11月、東部シナイ半島のモスク(イスラム教礼拝所)で300人超が死亡する大規模テロが起きたばかり。米国とアラブ諸国の「亀裂」を懸念する声もある。ISの脅威が続くイラクの首都バグダッドの電器店従業員、ヒシャム・バハディリさん(50)は「イラクにはまだ過激派が多く、米国の助けが必要。対立する事態はよくない」と述べた。

最終更新:12/7(木) 1:03
毎日新聞