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「モリカケ」でいつの間にか「党首討論」がなくなっていた!初の年間ゼロ、国会改革どこへ…

12/6(水) 10:49配信

産経新聞

 このところ自民党内で、質問時間の配分見直しや首相の国会出席の軽減など、国会改革をめぐる機運が高まっている。意義深いことだが、忘れてはならないのは17年前に国会改革の目玉として導入された「党首討論」だ。月1回開催するという与野党合意は守られず、今年は導入以来初の「年間ゼロ」となることが確実になっている。まずは約束を守らないことには、新たな改革も進まない。

 「与野党の枠を超えて国会改革を成し遂げるべきだ。国民にとって最善の形とは、首相を年間100日以上国会に張り付けることでしょうか」

 自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長(36)は11月17日、東京都内の講演でこう訴えた。

 続いて、萩生田光一幹事長代行(54)も11月19日のNHK番組で、衆院正副議長選出の際の投票の省略などを念頭に「前例や慣例にとらわれず、新しい時代の国会運営を考える必要がある」と語った。

 国会を取材していると、憲法で「国権の最高機関」と位置づけられながら、国会議員が重要法案を作成、成立させたり、政府が提出した法案を修正するといった真価を発揮する場面はそう多くはないことが分かる。与党の質問は切り込みが足りないし、野党はアピール狙いの無責任な質問も目立つ。改革機運の高まりは歓迎すべきことだ。

 こうした国会改革の本家本元は、平成11年施行の「国会審議活性化法」に基づき、12年に導入された「党首討論」である。英国議会の「クエスチョンタイム」をモデルとし、与党党首(首相)と野党党首が1対1で45分間にわたり、国内外の重要課題を議論する。

 当初は週1回の開催が原則だったが、26年5月、自民党や旧民主党など与野党7党が「月1回開催」を申し合わせた。

 さらに、首相の出席を党首討論や予算委員会の基本的質疑、締めくくり質疑などに限定することも申し合わせている。諸外国に比べ圧倒的に国会出席が多い首相の負担を減らす狙いがある。

 「55年体制」の下、自民党と旧社会党が「表でけんか、裏で取引」しながら運営した国対政治を脱し、討論型の国会と開かれた政党政治に生まれ変わる-はずだった。

 党首討論は導入1年目の12年に8回、13年は7回開かれた。だが、その後は減少傾向にあり、25年以降は1~2回の年が続き、今年1~6月の通常国会では開催されなかった。与党が開催を打診しても、野党側は予算委員会などに安倍晋三首相(63)を呼び、学校法人「森友学園」「加計学園」(モリカケ)問題を徹底追及して内閣支持率下落を狙う戦略に徹したからだ。

 11月1日召集の特別国会では野党が終盤になって開催を求めた。だが、首相は先週、衆参両院の予算委に4日間出席し、今週も4日の参院本会議に臨むなど予定が立て込んでおり、12月9日の会期末までの開催は不可能だ。

 最後の開催は昨年12月。月1回どころか年1回の開催すら実現していない。

 こんな事態になったのは与野党の思惑が交錯しているからだ。今年の通常国会の最中、当時の民進党国対幹部は「党首討論に応じたことを理由に集中審議に応じてもらえなかったら困る」と語っていた。また、別の民進党幹部は、当時の蓮舫代表(50)がデビュー戦となった昨年12月の党首討論で首相を追い込めなかったことから「7月の東京都議選を控え、蓮舫氏と安倍首相と直接対決させたくない」との本音を漏らしてもいた。

 野党が乗り気でない背景には、党首討論の導入時とは異なる現在の政治状況もあるようだ。本来は2大政党の下、与野党党首による政権交代をかけた論戦を想定していた。しかし、野党第一党だった民進党は衆院で立憲民主党と希望の党、衆院会派「無所属の会」に3分裂した。持ち時間を分け合うと1党あたり最大十数分しかない。

 また、野党第一党が衆院は立憲民主党、参院は民進党とそれぞれ異なり、さらに民進党所属の議員が衆院では「無所属の会」を作るという複雑な状況も、衆参両院が合同で開く党首討論の運営を難しくしているという。

 与党も窮屈な国会日程などを理由に開催の難しさを強調する。だが、党首討論は最も重要な論戦の場であり、本末転倒だ。緊迫する北朝鮮情勢や少子化対策など首相に問うべき課題が多い中、国会は十分に役割を果たせていない。

 形骸化しているのは党首討論の開催だけではない。首相の国会出席の限定や速やかな質問通告といった申し合わせも守られないケースが多い。「与野党で約束したことをきちんと守る」という当たり前のことが今、問われている。 (政治部 田中一世)

最終更新:12/6(水) 10:49
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