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臓器に沿って柔軟な動き、身体を傷つけない手術用かん子-慶大

12/6(水) 15:07配信

日刊工業新聞電子版

■力触覚「ハプティクス技術」搭載も視野

 慶応義塾大学理工学部の大西公平教授と医学部の和田則仁専任講師らは、体内の構造に合わせて柔軟に曲がる手術用かん子を使う「軟性内視鏡手術システム」を開発した。体に傷をつけず、低侵襲な手術が可能になる。さらに、力触覚を伝える「ハプティクス技術」を組み合わせ、臓器をつかんだ感覚などを手元に伝えられるかん子の実用化も目指す。

 かん子は、刃のないはさみのような形状をした手術用の器具。持ち手を開閉して操作し、組織や血管などをつかんだり引っ張ったりする。一般的なかん子は、持ち手から先端までの距離が長く直線的な構造をしている。このため、例えば食道の手術のために片方の肺をつぶしてしまうなど、侵襲性が高くなる懸念があった。

 開発したかん子は、持ち手から先端までの部分がやわらかい素材でできているため、体内で自在に形状を曲げられる。食道や胃、大腸などに処置をする場合、内視鏡のように口や肛門からかん子を体内に入れることができる。余計な傷をつけない低侵襲的な手術が可能なため、術後の回復が早く、感染症などのリスクも減らせる。

 また、研究グループが進めるハプティクス技術によってかん子先端の臓器の感触が手元に伝われば、より正確な力の調整が可能になる。この技術によってブタの腸をつかむ実験では、臓器の損傷が減っていた。

 和田専任講師は、「まずは体内でフレキシブルな動きが可能なかん子として医療機器の承認を目指す。2021年ごろをめどに、ヒトの治療に使用したい。その後、ハプティクス技術を搭載したかん子の実用化を予定している」と話した。