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東大、新株予約権でもインキュベーション入居可能に

2017/12/6(水) 10:52配信

ニュースイッチ

上場17社の時価総額は1兆円超

 東京大学は同大のインキュベーション施設の入居費について、ベンチャー(VB)が自社の新株予約権でも払える制度を2018年度に始める。政府による規制緩和を受けて制度を整える。同制度を導入するのは国立大では東大が初めて。東大はインキュベーション施設を19年度までに1万3000平方メートルに拡大する計画も進めている。資金が十分でないVBを、制度とインフラの両面から支援する。

 文部科学省は8月に、国立大学の技術や人を活用した大学発VBに対して大学が業務を行った場合、対価として株式・新株予約権を取得できるとする通知をした。対価を得るのは、大学施設・設備利用、教員による技術指導やコンサルティング、大学のデータ活用などが対象となっている。

 通知では大学が株式を長期保有することも認めている。これによって対象VBが上場し、株価の高い時期に売却して大学が高収入を得る道を開いた。

 これを受け、東大はVBの施設入居費やサポート費を新株予約権で、施設共益費を現金で受け取るなどの手法を試行する。現在は現金のみでこれら費用を受け取っている。インサイダー取引の問題など解決しつつ、慎重に制度設計を進めていく考えだ。

 東大は現在、4000平方メートルのインキュベーション施設を持つ。19年度までに合計1万3000平方メートルに増やし、100社程度の大学発VBを収容する計画も進めている。東京都文京区の本郷地区にある「アントレプレナープラザ」で、ユーグレナやペプチドリームなどの上場VBを育てたノウハウを計4地区の新施設に生かす。

 東大が関係するVB305社のうち、上場17社の時価総額は1兆円超にのぼる。仮に株式の1%を所有していれば100億円が得られた計算となる。

 新制度は大学側にもVB側にもメリットがある試み。ビジネス立ち上げにおいて、大きな問題の一つが家賃負担。株式対価の出世払いが許されれば、VBは有難い。さらに、大学経営にも収入の多様性をもたらすと期待される。

 また、こうした大学側の施設にVBを物理的に集積させ、クラスターにすることは世界的潮流でもある。

最終更新:2017/12/6(水) 10:52
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