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オジロワシ本州での繁殖初確認 青森・小川原湖湖沼群

12/6(水) 12:20配信

デーリー東北新聞社

 従来、繁殖域が北海道のみとされていた天然記念物の猛禽(もうきん)類・オジロワシが、青森県六ケ所村南部の小川原湖湖沼群でも営巣を行っていることが、日本野鳥の会青森県支部(関下斉支部長)の調査で明らかになった。本州での繁殖が確認されたのは初めてで、同支部は繁殖域の拡大に伴う保護活動の重要性を訴えている。

 ■2羽が巣立ち
 オジロワシは、環境省レッドリストの絶滅危惧2類に指定される国内希少野生動植物種。国内では北海道に繁殖拠点を置き、青森県内をはじめとする本州などで越冬する―というのがこれまでの研究成果だった。

 一方、県内では数年前から、夏季にも成鳥やひなを目撃したとの報告が複数あったため、2016年4~7月の間、同支部の6人が観測を実施。つがいの成鳥2羽や巣、巣内のひな2羽を発見した。関下支部長は「親が水辺で餌をついばむひなを見守ったり、大きくなったひなを突き放して巣立ちを促す姿も確認でき、ほほ笑ましかった」、日本鳥類学会誌に観察論文を執筆した弘前大農学生命科学部の高橋雅雄・日本学術振興会特別研究員は「長年の宿題をやり終えたような、ほっとした気分だった」と振り返る。

 関下支部長によると、オジロワシの繁殖地には▽大型の巣を支えられる、枝ぶりの良い立木▽餌となる魚介類が豊富な漁場の近辺―といった環境が必要で、「小川原湖の湖沼群がその条件に合致したのだろう」と指摘。高橋特別研究員は、17年には津軽地方でも繁殖が確認されたことを明かしつつ、「保全活動の結果、北海道での生息個体数や繁殖巣数は回復、増加傾向にある。“収容能力”のある新天地を求めたのでは」とみる。

 ■生態系守って
 同支部が今回の発見を公表したのは、野生動植物との付き合い方を改めて問い掛ける狙いがある。

 県内では気象条件を利用した風力発電が盛んだ。近年も東日本大震災の影響で再生可能エネルギーへの関心が高まり、六ケ所でも新増設の計画が進む。

 一方、発電設備の周辺ではオジロワシなどの鳥類が風車の羽根に衝突して死亡する「バードストライク」が発生しており、関係者はこうした事例の増加を懸念してきた。関下支部長は「風力発電をやめろというわけではない。計画段階で、風の動きや鳥の経路を見極めた上で配慮するなど、共生の道を探ってほしい」と要請する。

 また、自然撮影を好むカメラ愛好家の中には、写真映えにこだわるあまり「いたずらに被写体へ接近したことで親鳥が巣を放棄するなど、生態系を壊すケースが少なくない」とも警告。研究目的などの場合を除き、「原則として彼らのテリトリーに踏み込まず、レンズを向けることも控えるのが望ましい。オジロワシが青森に定着できるよう、遠くから静かに見守って」と呼び掛けている。

デーリー東北新聞社