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戦没者追悼式屋内に 県、次代へ内容見直しも

12/6(水) 8:00配信

カナロコ by 神奈川新聞

 戦没者遺族の高齢化が進む現状を踏まえ、黒岩祐治神奈川県知事は5日、毎年5月に県戦没者慰霊堂(横浜市港南区)で行う戦没者追悼式の会場を変更する考えを表明した。参列者が転倒するケースが相次いだ苑地の傾斜改善は断念し、県民ホール(同市中区)などの屋内施設へ移す。若者世代に戦争と平和を伝え継げるよう式典内容を見直す考えも示した。

 苑地は本堂を仰ぎ見るように傾斜になっており、門から約40メートル先の本堂までの高低差は4メートルある。県主催追悼式は参列者が約千人に及ぶため屋外で行ってきたが、本年度の式典では高齢の女性ら2人が傾斜でバランスを崩すなどして転倒。知事が傾斜を改善して安全を確保する意向を示していた。

 だが、戦没者や戦災死者約5万8千人の名簿が納められた「歴史と特別な意味のある施設」(県生活援護課)としての景観が損なわれる懸念などから断念。屋内は悪天候の影響を受けない利点もあり、2019年度から会場を移すことを決めた。

 会場変更について県は既に県遺族会に説明。「『安心して参加できる』という好意的な反応だった」(同課)という。県遺族会の事務局も「県主催の追悼式なので、県の判断。8月に行う遺族会主催の追悼式は慰霊堂(本堂)で開催しており、県主催の式も『慰霊堂でなければならない』という声は現状では聞いていない」と受け止める。

 慰霊堂で行う県主催追悼式は1953年から71回を数えるが、来年度が最後となる。県は安全対策を強化して開催するとし、苑地の石畳や階段を補修、手すりを設置するほか、参列者をサポートする職員も増員して対応する。

 また、屋内開催に向けて式典内容も見直す。知事は「追悼式の厳粛さを保ちながらも、次世代を担う人たちにも参加してもらい、戦争の悲惨さと平和の尊さをしっかりと引き継いでいけるようにしたい」と述べた。

 同日の県議会本会議で、新井絹世氏(自民党)の代表質問に答えた。