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なでしこジャパンの招集メンバーにサプライズなし…EAFF E-1サッカー選手権でのテーマは「心技体+知」

12/6(水) 19:09配信

SOCCER KING

 EAFF E-1サッカー選手権選手権(女子)に出場するなでしこジャパンのメンバー23名が発表されたとき、特に大きな驚きはなかった。欧州組のGK山根恵里奈(ベティス/スペイン)、DF熊谷紗希(リヨン/フランス)、FW横山久美(フランクフルト/ドイツ)らが招集を見送られ、それぞれのポジションに山下杏也加(日テレ)、坂本理保(AC長野)、菅澤優衣香(浦和)が復帰した。それ以外は2週間前(11/20~25)のヨルダン遠征から変化なく、「初招集」はゼロだ。

 高倉麻子監督は就任以来、過去の実績にとらわれず、長所を持つ選手、伸びそうな選手を積極的に登用してきたが、今大会のメンバー発表会見では「少し落ち着いて、この選手はこのポジションというのを見極めつつある。それを固めていこうという段階です」と発言するに至った。

 高倉監督が代表選手に求める資質は「心技体+知」。ワールドカップや五輪を見据えれば、(もちろん「心技体」の土台がおろそかではいけないが)なでしこがフィジカルで真っ向勝負を挑むのは現実的でない。そのため「知(知性、賢さ)」はチームにとって重要だ。

「(なでしこジャパンは)賢く戦う。サッカーを理解して、フィジカル的に劣る分、組織力であるとか賢く戦える部分を上げていこうと」

 高倉監督はそのようなビジョンを描くが、これまでなかなか結果を伴わなかった。例えば優位に進めていたゲームを終盤の失点で勝ちきれなかったり、長所を押さえ込まれた試合をどうにか互角の戦いに持ち込むことができなかったり……。掲げる理想は高くあれど、完成には遠い。メンバー発表会見でも「2019~2020年に向けて、理想のチームにどのぐらい近づいていますか?」といった趣旨の質問に対し、「やはり課題が目についてしまうので、まだまだ足りないなっていうことが今の時点では非常に多くて。本当にまだまだです」と正直にコメントしていた。

 しかしその問題も、チームがメンバーを固める段階に入ったことで徐々に解消に向かうのではないか。これからは「集団として賢く、したたかにゲームを運ぶ」という知性の共有が、選手間で加速的に進んでいくことになるだろう。

 賢いサッカーを牽引するのは、やはり世界の高いレベルを経験した選手たち。今回のメンバーでいえばセンターラインで起用されそうな宇津木瑠美、阪口夢穂、岩渕真奈の3人には、ゲームの流れを作ったり相手の意図に応じて修正したりする役目が期待される。

 特に長いドイツ生活からリハビリを経てINAC神戸に移籍した岩渕は、ベテランと呼ぶにはまだ早いものの、自分よりも年下の選手が増えた攻撃陣において周囲を操るリーダーの姿を求められる。もともと彼女は若手の頃から、周りの選手を使いながら自分も生かすプレーが得意だ。高倉監督は、岩渕のような中堅世代、そして監督自ら代表に引き上げた若手世代について、次のように期待を明かした。

「新しくチームが変わって、いろんなチャレンジをしてうまく行ったり行かなかったりっていうことを繰り返す中で、今まで中堅で頑張って来た選手が、本当に上になってチームを引っ張っていくという姿勢も見えて来ていますし、若い選手たちは自分たちがなでしこを支えていくんだっていうことを少しずつ自覚しながら、合宿のたびにチームらしくなって来ているなっていうことを感じている」

 来年春、アジアカップ(兼ワールドカップ予選)に出場するメンバーが告げられるとき、新しい選手を大抜擢するような「サプライズ選出」はおそらくないだろう。海外組や故障者の復帰待ちを除けば、このE-1選手権のメンバーがそのままアジアの頂点を目指した戦いに挑むことになる。選手たちはE-1選手権というタイトルをかけた公式戦の中で、来年再来年に向けたレギュラー争いにしのぎを削る。キーワードは「心技体+知」。それらを、チームを勝たせるために発揮できる選手がレギュラー定着に大きく近づく。

 EAFF E-1サッカー選手権2017でなでしこジャパンは、8日に韓国、11日に中国、15日に北朝鮮と対戦。全試合、千葉のフクダ電子アリーナで行われる。高倉監督は会見で「2010年大会は大勢の人に応援していただき優勝している。今回は、平日開催だがたくさんの方に来ていただき、選手の背中を押してもらえれば」と地元ファン、サポーターの後押しを期待している。

文=江橋よしのり

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最終更新:12/6(水) 19:09
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