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NHK訴訟 受信料、安易な徴収歯止め テレビ離れ…制度議論は途上

12/7(木) 7:55配信

産経新聞

 NHKの受信料制度について最高裁大法廷は6日、憲法が保障する「表現の自由」や「知る権利」の実現に照らして、「合憲」とする初判断を示した。徴収に最高裁が「お墨付き」を与えた形だが、契約成立時期についてはNHKの主張を退け、安易な徴収に歯止めをかけた。インターネットの普及によるテレビ離れも続いており、制度をめぐる議論は途上だ。

 ◆「知る権利を充足」

 受信料制度を定めた放送法は昭和25年に施行され、その後、民間事業者による放送が始まった。最高裁がまず着目したのは、この「二元体制」だ。

 最高裁は「公共放送と民間放送がそれぞれ長所を発揮する」という二元体制の趣旨を踏まえた上で、公共放送の財源を受信料でまかなうのは「NHKに国家機関や団体からの財政面での支配や影響が及ばないようにする」ための仕組みだと指摘。放送法の規定はテレビ設置者に契約締結を強制するものだが、国民の知る権利を充足するという目的を実現するために、必要かつ合理的なものだとした。

 NHKは訴訟で、公共放送の意義についても強調。弁論で、身元不明や親族が引き取りを拒否する遺体が年々増加していることなどを取り上げた「NHKスペシャル」を挙げ、長期的な取材で社会的議論を呼ぶことで、「視聴した人はもちろん、視聴しなかった人も恩恵を享受している」と訴えていた。

 判決は公共放送の具体的なあり方には踏み込まなかったが、放送法を全面的に肯定する結論となった。

 ◆未契約世帯912万件

 一方、契約の成立時期についてはNHK側の主張を退けている。

 NHKは他の同種訴訟も含めて、「テレビ設置者に申込書を送った時点で契約が成立する」との立場を主張の柱としている。背景にあるのは、受信料徴収をめぐる環境の厳しさだ。

 今年3月末現在で、受信契約の対象とする世帯4621万件のうち、未契約世帯は912万件に上る。マンションのオートロック化も進み、徴収はより難しくなっているという。NHKの主張が認められれば、未契約者への徴収で、民事訴訟を起こす手間が省けることになる。

 ただ、判決は、契約は一方的な申し込みで成立するものではなく、「NHKとテレビ設置者との間の合意によって生じる」と指摘。「NHKが未契約者を相手に訴訟を起こし、勝訴が確定した時点で契約が成立する」との立場に立った。

 また、契約が成立した場合、いつまで遡(さかのぼ)って支払う義務があるかについては、「テレビ設置の時点に遡る」とするNHKの主張を採用し、「契約成立時点」とする男性側の主張を退けた。

 テレビ設置者は訴訟を起こされれば、最終的には受信料を支払うことになる可能性が高いが、判決は「基本的には、NHKが契約への理解を得られるように努め、テレビ設置者に支えられて運営されていくことが望ましい」とも言及。NHKにも、引き続き丁寧な説明をするよう求めた。

最終更新:12/7(木) 8:20
産経新聞