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青春時代の思い出あふれる春風亭昇太の高座/週末エンタメ

12/7(木) 15:00配信

サンケイスポーツ

 「笑点」の司会をはじめ、マルチな活躍で大人気の落語家、春風亭昇太の高座。先月中旬、一席聴きに出かけた。そこには、青春時代の思い出があふれていた。

 静岡市清水区出身の昇太師匠は、本編前の“まくら”で中学、高校時代の思い出をたっぷり披露した。中学時代はブラスバンド部。東海大一高校(東海大翔洋)でもブラスバンド部に入るつもりだったと話すが、全国大会常連の超強豪校だったため、断念。偶然声をかけられたソフトボール部に入ったという。

 そこで思わぬ人物の話になり、驚いた。「野球部に、イベくんっていう、ものすごく球が速い選手がいましてね。同じ球技でも、僕とは格が全然違いましたよ」

 野球部? もしや…。あのイベさん以外に、その名字の人に出会ったことがない。話は進み、1981年のドラフト1位でロッテに入団した井辺康二さん(現スカウト)と同級生だと判明した。

 私は文化報道部に属する前、22年間野球担当をしていた。若かりしころ、取材先の地方球場で突然の雨に見舞われ、そっと傘を差し出してくださったこともあった井辺さん。思わぬところでつながった縁に感謝した。

 噺は続く。1977年、2人の高校3年の夏。昇太師匠が属するソフト部は静岡大会で優勝、国体にも出場した。一方、エースの井辺さん率いる野球部は静岡大会の決勝で掛川西に敗北。甲子園に一歩届かず、涙をのんだ-との流れの後「こう話すとソフト部のほうがエラいみたいけれど、実は静岡にソフト部は2校しかなかったんですっ!」と、ここでも客席は大爆笑だった。

 「私の半生が分かってしまうぐらい、しゃべりすぎました」と笑う昇太師匠は時勢に合わせ?新作落語「力士の春」を披露。拍手が降り注いだ。

 終演後、昇太師匠に諸々を打ち明けると「井辺くんを知ってるの? もう、カッコよかったのなんのってね。うらやましかった。あのころが懐かしいなぁ」。ご自身も大スターだというのに一歩引き、遠い目をした昇太師匠の姿に奥ゆかしさが漂う。活躍の場は異なるが、温和で人当たりがいいというお二方の共通点に心温まる思いだった。

 年内の寄席のチケットは入手困難だが、お城好きでも知られる昇太師匠は23日に「お城EXPO 2017」(パシフィコ横浜会議センター、前11・0)のトークショーに“出陣”。高座とは違った魅力を披露してくださるに違いない。(山下千穂)