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子連れ議会は「パフォーマンスならばいい」。30年前の論争は今に生きているのか

12/7(木) 10:47配信

BuzzFeed Japan

熊本市議会議員の緒方夕佳さんが、生後7カ月の長男を抱いて市議会本会議に出席しようとしたことで、子連れ出勤の是非や、職場の寛容性をめぐって議論が起きている。実は、同じような議論が30年前にもあった。「アグネス論争」だ。【BuzzFeed Japan / 小林明子】

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「アグネス論争」は、タレントのアグネス・チャンさんが、講演やテレビの収録現場に1歳の長男を連れて行ったことの是非をめぐって賛否両論が起きた。

論争には、歌手の淡谷のり子さん、和田アキ子さん、コラムニストの中野翠さん、作家の林真理子さん、社会学者の上野千鶴子さんら多くの著名人が参戦。いまで言う「大炎上」となり、「アグネス論争」は1988年の日本新語・流行語大賞で大衆賞を受賞した。

「アグネス論争」とは

緒方さんの場合、許可なく子どもを連れてきたため、議会の出席は認められなかった。開会を40分ほど遅れせたとして厳重注意処分となった。

緒方さんは、仕事と子育ての両立を「自己責任」として扱われる職場や社会がある、と問題提起。BuzzFeed Newsの取材に「世の中には多くの働く母親が直面している厳しさがある。議場に赤ちゃんと座ることで、多くの声を体現しようと考えた」と話した。

一方、アグネスさんは1986年に長男を出産し、翌年に仕事を再開。母乳育児を続けたいなどの理由から、マネージャーら同伴のもと長男を楽屋に連れてきた。この行動に、前述の女性芸能人らから「周りに迷惑」「甘い」などの声があがった。

中野翠さんは「サンデー毎日」で「私は喫茶店に子どもを連れてくる母親というのに、なみなみならぬ嫌悪感を抱いている」と表明し、テレビ局の楽屋も同じだと主張。「タバコを喫えず、『かわいい』のひとこともいわなければならないテレビ関係者の人たちに少し同情した」。

アグネスさんは、参議院国民生活に関する調査会で参考人として意見を述べたときに反論。「子育ては1歳半まで母親がやるべき」「フランス料理レストランで子連れを拒否された」などとも発言した。講演のギャラが1回100万円だったことも話題になり、論争はさらに過熱した。

林真理子さんは「文藝春秋」に「いい加減にしてよアグネス」と題した批判記事を掲載。大きな反響を呼んだ一方で、「女をいじめる女」として揶揄するメディアもあった。

上野千鶴子さんは朝日新聞のコラムで、「ルールを守れ、と叫ぶのは、ルールに従うことで利益を得る人たちである。女たちはルールを無視して横紙破りをやるほかに、自分の言い分を通すことができなかった」と“代理戦争“を買って出た。

その後も、さまざまな論点で多くの著名人が議論を重ね、1988年7月には『アグネス論争を読む』というブックレットまで出版された。いまで言う「まとめサイト」に近いが、論争は1年以上にわたって続いた。

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最終更新:12/7(木) 18:07
BuzzFeed Japan