ここから本文です

02年同点金裁定きっかけ、相対評価から絶対評価へ

12/7(木) 8:13配信

日刊スポーツ

<フィギュア界の事件簿(5)不正採点疑惑・下>

 ロシア組とカナダ組の採点を巡る02年ソルトレークシティー五輪のペアで起きた不正疑惑は、五輪史上最大のスキャンダルに発展した。かかわったとみられるフランスの審判は当初、「ロシア側から圧力を受けた」と話したとされるが、その後、撤回したという。

 銀メダルとなったカナダの連盟は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴。結局、CASの聴聞会直前の2月15日、国際オリンピック委員会(IOC)と国際スケート連盟(ISU)は、同審判を資格停止。フリーの採点でロシア5人、カナダ4人だった1位の席次から、同審判が入れたロシアの採点を無効とし、4対4の同点でカナダにも金を与えると発表した。

 翌16日、ISUは「新採点法を検討中」と発表した。当時の採点法は6点満点で、選手間の演技を比較して、どちらが上かを判断する席次という方法がとられていた。相対評価だが、そこに圧力でつけ込まれる原因があったというわけだ。

 また、規則で採点や減点基準は明示されていたが、結果として、ジャンプやスピンなどの各要素がどのぐらいの点だったかは開示されなかった。技術点、芸術点の各合計点は分かるが、それを構成する細かな点は公表されなかった。それも不正の温床といわれた。この疑惑がきっかけとなり、新しい採点法が03-04年シーズンから導入された。

 現在の採点法は、選手間の出来を比較せず、各選手が演技した要素ごとの出来、不出来を判断する絶対評価となった。その合計が選手の得点となり、各要素の細かな採点をすべて開示している。選手の比較を取り払うことで不正な圧力の介在を回避、詳細を開示することで、採点の透明性を確保したといわれる。

 しかし、元国際審判の杉田秀男氏(82)は「審判の見る目が育ちにくい」と、現在の採点法の課題を指摘する。「結局、フィギュアとして、どっちの選手が素晴らしいかを問われるのが審判。今の(採点法)では、要素の判断でしかない」という。どんなに基準を明確にしても、採点競技は審判が人間である以上、主観が入ることを回避はできない。最後は、その人間の経験と良心にすべてをゆだねるしかないのかもしれない。【吉松忠弘】

最終更新:12/7(木) 8:17
日刊スポーツ