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米タイム誌、今年の人は「沈黙を破った人たち」 性的加害行動を糾弾

12/7(木) 11:50配信

BBC News

米タイム誌は6日、毎年恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に「沈黙を破った人たち」を選んだと発表した。性的嫌がらせや加害行動の被害経験について沈黙を破り、発言した人たちの勇気を称えている。

タイム誌のエドワード・フェルゼンタール編集局長は、「これほどあっという間に社会が変わるのは、数十年ぶりだ」と選考理由を話した。フェルゼンタール氏は米NBC番組「トゥデイ」で、性的加害行動を糾弾する動きは、「何百人もの女性と、一部の男性が、個人的に勇気ある行動をとって前に出て、自分たちの物語を語り始めることで始まった」と称えた。

性的加害行動を糾弾し、告訴、告発した人たちの運動は、今年10月にハリウッドの大物映画プロデューサー、ハービー・ワインスティーン氏の長年の行動に対する疑惑が表面化したのを機に、「#MeToo(私も)」ハッシュタグがソーシャルメディアで拡散し、抗議行動のうねりにつながった。

これについてタイム誌は、ハッシュタグは「運動全体の一部だが、その全てではない」と位置付けている。

タイム誌は「今年の人」を発表する最新号の表紙に、様々な立場の女性を登場させ、性的加害行動がいかに社会全般に蔓延(まんえん)しているかを表現した。著名人は、最初にワインスティーン氏を公に糾弾した女優アシュリー・ジャッド氏と、自分の尻をつかんだ元DJに対する民事訴訟に勝訴した人気歌手テイラー・スウィフト氏の2人。

ほかには、メキシコ出身で米国の果樹園でイチゴを摘む仕事に就いていたイサベル・パスカルさん(42、仮名)、カリフォルニア州サクラメントの企業ロビイスト、アダマ・イウさん(40)、配車アプリ「ウーバー」の最高経営責任者を退任に追い込んだ元エンジニアのスーザン・ファウラーさん(26)が表紙に並んでいる。

記事中ではさらに大勢が、「沈黙を破った人」として紹介されている。

同誌は、今の「この瞬間」には「リーダーもいないし、全体をまとめる共通の主義主張もない。『#MeToo』ハッシュタグは(たちまち、#BalanceTonPorc、 #YoTambien、 #Ana_kamanなど様々な言葉に形を変えて)、何百万人もの人が立ち上がり自分の物語を語るための連帯のよりどころとなった。これは運動全体の一部だが、その全てではない」と書いている。

「沈黙を破った多くの女性や男性は、あらゆる人種、あらゆる所得層、あらゆる職業にわたり、ほとんど全世界の隅々にまでいる」と同誌は書き、その大勢が全体として、恥辱を憤りに、恐怖を激怒に変えさせたと指摘。何千、何万もの人が世界各地で抗議行動に参加し、権力を握る多数の男性にそれまでのふるまいの責任をとらせたという。

記事ではほかに、「#MeToo」ハッシュタグを10年以上前に作った活動家、タラナ・バーク氏や、今年10月にソーシャルメディアで大拡散するきっかけを作った女優アリッサ・ミラノ氏を取り上げている。ハリウッドの大物エージェントに性器をつかまれたと告訴した俳優テリー・クルーズ氏、雇用主に集団訴訟を起こしたホテル従業員たち、オレゴン州上院議員が自分の体を長年にわたり触り続けたと名指しで糾弾したサラ・ゲルサー同州上院議員、名乗りを上げれば解雇されると恐れる病院職員も登場する。さらに、ドナルド・トランプ米大統領に大統領選中のテレビ討論会で「いろんなところから血が出ている」と嘲笑された、元フォックス・ニュースのメギン・ケリー氏も取り上げられた。

ケリー氏はトランプ氏について、「#MeToo」運動がこれほど高まった一因で、その当選は「女性にとって後退だ」と述べた。

皮肉なことに、そのトランプ氏は昨年の同誌「今年の人」で、今年も次点だった。トランプ氏は先月末に、今回の「今年の人」を辞退したとツイートしたが、同誌は「大統領は正しくありません」と否定していた。

タイム誌の「今年の男性」選考は1927年に始まった。「良くも悪くも(中略)今年1年の出来事に最も影響を与えた人物」が選考基準だという。

選ばれた大多数は個人だったが、そうとは限らない。2014年の「今年の人」は「エボラ熱と戦う人たち」だったし、2011年にはいわゆる「アラブの春」を念頭に「抗議する人たち」を選んだ。

1950年には「枠が破られた」と説明し、「米国の戦士たち」を選んだ。ハンガリー動乱の起きた1956年には「ハンガリーの人たち」を選び、1966年には「25歳未満の米国人」、1969年には「中流米国人夫妻」を選んでいる。

2006年の「今年の人」は単に、「あなた」だった。インターネットで一般ユーザーが作り出すコンテンツの重要性を反映した選考だった。

(英語記事 Person of the Year: Time honours abuse 'silence breakers')

(c) BBC News

最終更新:12/7(木) 12:40
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