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【阪神】「やらな、しゃーない」岩田稔に長嶋さん「やったらいい」…ゴールデンスピリット賞

12/8(金) 6:05配信

スポーツ報知

 阪神・岩田稔投手(34)が7日、ホテルオークラ東京で行われた報知新聞社制定「第19回ゴールデンスピリット賞」の表彰式に出席した。プロ野球人の社会貢献活動を表彰するもので、岩田は自身も闘う1型糖尿病の研究基金に09年から1勝につき10万円を寄付。患者と家族の約400人を球場に招待してきた地道な活動が評価された。

 選考委員を務めた巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(81)=報知新聞社客員=から背中を押された左腕は、同じ背番号21の大リーガー、故ロベルト・クレメンテ氏の精神を受け継ぎ、生涯をかけて福祉活動を続ける決意を明かした。

 黒いジャケットと蝶(ちょう)ネクタイを身につけた岩田が、神妙な面持ちでマイクの前に立った。「本当にありがとうございます。年間を通して数多くは活動できていない状況でも、年数を重ねていけば太い道になる。そういうことを評価していただいたのかなと思います」。自身も高校2年時から闘ってきた1型糖尿病。その患者らを積極的に支援してきた活動が受賞につながった。

 憧れのミスターから背中を押された。岩田の座右の銘は、著書のタイトルにもした「やらな、しゃーない!」。表彰式後のパーティーで長嶋氏から「(思うように)やったらいいんだよ!」と激励の言葉を贈られた。幼少時は巨人ファンだった岩田の心に熱い火がともった。「長嶋さんから自分の本の題名と同じような言葉をいただいた。野球の成績もそうですし、こういう活動に対して『現役が終わってからも続けていけよ』ということだと思う」

 09年から1勝につき10万円を、1型糖尿病の研究や患者の支援を行う認定NPO法人「日本IDDMネットワーク」に寄付してきた。自身のグッズ収益と合わせ、寄付総額は472万円。10年前から球場に招待してきた患者とその家族は約400人に上る。同法人と協力して「岩田稔基金」を創設することも決まり、活動を発展させていく予定だ。

 選考委員の佐山和夫氏からは「背番号21でしょ。クレメンテと同じだね」と声をかけられた。中南米諸国で慈善活動に奔走した大リーガーの名前を冠した「ロベルト・クレメンテ賞」は米大リーグの名誉ある賞。日本のゴールデンスピリット賞の起源にもなっている。クレメンテの背番号21はパイレーツの永久欠番。岩田は「外国人選手が21番をうらやましがる。なぜかなと思っていた。本当に縁がありますね」と1972年にニカラグア地震の救援物資を運搬中、飛行機事故により38歳で亡くなった先人をしのび、決意を新たにした。

 今季は2年ぶりの白星を挙げたが、3勝どまりだった。「この賞を誇りに思って、これからも活動を続けていきたい。1型糖尿病の(現役)野球選手は僕しかいない。絶対に崩れられないし、本業の方でもっと活躍しないといけないですね」。10万人に1人か2人といわれる難病に、不屈の精神で立ち向かってきた。周囲の支えに感謝を忘れず、岩田稔の挑戦は続く。(表 洋介)

 ◆岩田 稔(いわた・みのる)1983年10月31日、熊本県生まれ、大阪府出身。34歳。大阪桐蔭高から関大を経て、05年大学・社会人ドラフト希望枠で阪神に入団。3年目の08年にプロ初勝利を挙げて、シーズン10勝。09年も第2回WBCで世界一を経験。プロ12年間で172試合に登板し、56勝72敗、防御率3・25。179センチ、94キロ。左投左打。

 ◆1型糖尿病 すい臓のインスリンをつくり出す細胞が破壊され、食事から得られるエネルギー(ブドウ糖)を体内の細胞に取り込めなくなる病気。不足したインスリンを日々の注射で補い、血糖値を下げる必要がある。1988年から2年間、巨人で活躍したビル・ガリクソン投手は、この病気と闘いながら日米通算183勝を挙げた。食生活や肥満など、生活習慣が原因となる「2型糖尿病」とは区別される。

 ◇ゴールデンスピリット賞

 日本のプロ野球球団に所属する人の中から、積極的に社会貢献活動を続けている人を表彰する。毎年1回選考委員会(委員名別掲)を開いて、球団推薦と選考委員推薦で選ばれた候補者から1人を選定する。欧米のスポーツ界では社会貢献活動が高く評価され、中でも米大リーグの「ロベルト・クレメンテ賞」が有名で、球界での最高の賞として大リーガーの憧れの的になっている。日本では試合での活躍を基準にした賞がほとんどで、球場外の功績を評価する表彰制度は初めて。いわば「球場外のMVP」。受賞者にはゴールデントロフィー(東京芸術大学名誉教授・絹谷幸二氏作製のブロンズ像)と阿部雄二賞(100万円)が贈られる。また、受賞者が指定する団体、施設などに報知新聞社が200万円を寄贈する。

 ◇阿部雄二賞

 2001年4月9日、本賞を第1回から協賛している株式会社サァラ麻布の代表取締役社長・阿部雄二氏が逝去。同氏の遺志として3000万円が報知新聞社に寄贈された。報知新聞社はその遺志を尊重し、長く後世に伝えるため「阿部雄二賞」を創設した。

最終更新:12/8(金) 6:05
スポーツ報知