ここから本文です

【ナビレビュー】クアッドコアSoCの採用やハイレゾに対応した「サイバーナビ AVIC-CE901SE-M」

12/8(金) 0:00配信

Impress Watch

 ハイエンドカーナビの代名詞と言っても過言ではないのが、カロッツェリアの「サイバーナビ」だ。

【この記事に関する別の画像を見る】

 これまでにもDVD-ROMやHDDといったメディア対応、プローブ情報を活用して交通情報を入手するスマートループ、ヘッドアップディスプレイやスカウターといったAR機能など最新技術をいち早く取り入れることで、カーナビ業界のトレンドを作り上げてきた。

 そんなサイバーナビが昨年、2016年モデルでビッグチェンジを果たした。CPUをはじめとしたハードウェアだけでなく、ソフトウェア面でもOSから刷新と、いわば新世代モデルへと進化したワケだ。

 こうした流れを経て登場したのが、今回紹介する2017年モデル。ラインアップは2016年モデルを踏襲しており、大まかに列挙すると7V型ディスプレイを採用した2DIN対応の「AVIC-CZ901」、ワイド2DIN対応の「AVIC-CW901」、8V型ディスプレイを採用した「AVIC-CL901」、それに10V型ディスプレイ&専用装着パネルが付属する車種別モデル「AVIC-CE-901」系の4系列。専用モデルは現状では日産自動車「セレナ」、トヨタ自動車「アルファード」「ヴェルファイア」「ヴォクシー」「ノア」「エスクァイア」、本田技研工業「ステップワゴン」が用意されている。

 これらに加えて、ドライブサポート機能を実現する「マルチドライブアシストユニット」(ND-MA1)および、「データ通信専用通信モジュール」(ND-DC2)を同梱したモデルも用意。こちらはモデル名の最後に「-M」が付くことで見分けることが可能だ。

 今回レビューするのは、10V型ディスプレイを採用する日産セレナ専用モデル「AVIC-CE901SE-M」。これら専用モデルについては、前述のマルチドライブアシストユニット&通信モジュールのほか、車内を撮影するための「フロアカメラユニット」(ND-FLC1)まで同梱された“全部入り”となっている。

■2017年モデルの変更点は?

 さて、まずは新型のポイントから触れていきたい。同社の言葉を借りれば、「先進のエンタテインメントカーナビ」化。ざっくりと言ってしまえば「ハイレゾ音源対応」「ミュージッククルーズチャンネルの進化」「リアエンタテインメント」の3点。

 え、カー“ナビ”はどうした?って。9月に行なわれた発表会ではあまり触れられなかったのだけれども、実は重要な部分が大きく変更されている。それは、カーナビというかサイバーナビの心臓部となるメインSoC(System On a Chip)の強化だ。

 2016年モデルではシングルコアのものが使われていたが、2017年モデルではダブル、トリプルをすっ飛ばして一気にクアッドコアにまで強化されているのだ。2016年モデルでもかなりのスピードアップを果たしたと感じていたが、さらなる底上げがなされたわけだ。

「もう遅いなんて言わせない!」

 2016年にフルモデルチェンジを果たし、わずか1年でまさかのSoC更新という力の入れ具合からは、そんな開発陣の声が聞こえてくるようだ。

 とはいえ、コアが4倍になったからといって、速度も4倍とはいかないのはPCに詳しい読者諸氏ならご存じのとおり。カーナビの場合はベンチマークソフトなんてものが用意されているわけじゃないので、その差をなかなか表わしにくいのだけれども、とりあえず分かりやすそうなルート探索でチェックしてみることにした。目的地は紀伊半島最南端近くのJR新宮駅。前回(2016年)の記事に動画を掲載しているので見てもらうと分かりやすいが、2016年モデルでは約6.2秒を要している。で、今回のモデルで同様にチェックしてみたところ約5.2秒と、およそ1秒ほど短縮された。手動計測&道路状況なども同一ではないため厳密な結果ではないものの、スクロールやそのほかの操作においても、よりキビキビとスムーズに動作する印象を受けた。スゴく分かりにくい例えを書くと、2015年から2016年の変化がHDDからSSDに交換したぐらいだとすれば、2016年から2017年はSATA SSDからM.2 SSDに変えたぐらい、って感じか。SoC関係なくなっちゃってるけど、あくまでイメージね。

 ヘンな例えはさておき、操作性の面ではまったくのストレスフリー。メニュー操作はもちろん、地図スクロールや拡大縮小、検索、探索と、どれをとってもサクサク。唯一、気になる点があるとすれば、通信モジュールによるデータ送受信に時間がかかることぐらい。ローカルでの操作が速くなったことで、ここの遅さが余計にピックアップされてしまった印象だ。もっとも、それが気になるのは「フリーワード音声検索」とか、ローカルにデータを持っていない施設の検索程度。ルート探索時にもサーバーとの通信を行なっているけれど、そちらはデータ量が少ないこともあり、ほぼ気にならないスピード。どうしても急ぎたいときは、音声検索などを利用しなければイイだけだ。

 操作面で触れておきたいのは「スマートコマンダー」。サイバーナビでは2016年から採用され、手元でナビメニューとAVメニューの呼び出しができたり、地図の縮尺やボリュームをダイヤルで変更できたりと直感的で多機能なうえ、Bluetooth接続で置き場所も選ばないスグレモノ。……ナンだけれども、どうも使っている人が少ないらしい。ジョイスティックのボタンを押すことで実行できる「ダイレクトメニュー」も便利なので、ぜひ使ってみてほしい。

 また、スマートコマンダーを補助するアイテムとして、スマートフォン(Android/iPhone)用アプリ「リアスマートコマンダー」も登場。コレを使えば車内のどこからでも、スマートコマンダー同様の操作が可能になる。

■ナビの基本部分は2016年モデルを踏襲

 まず、メニュー画面まわりから見ていくと、ホームメニューを中心にナビメニュー、AVメニュー、Live infoメニューと4画面構成になっているのは変わらず。ただ、メニューの内容は機能追加により項目が増えており、とくにナビメニューでは「フリーワード音声検索」のほか、「駐車場満空」などスマートループ系の項目が追加されている。一見、項目数の多さゆえ分かりづらく感じるものの、よく使う項目はホームメニューに設定しておけばワンタッチで必要な機能を呼び出せる。ボタンサイズの変更も2016年モデルと同じく画面上で簡単に行なえるので、そのあたりはまったく問題ナシだ。

 地図画面は基本的に変わらず。ただ、直近の信号が大きく表示されるなど、細かなチューニングが行なわれているようで、より分かりやすい表示となっている。

 もちろん、2016年モデルから採用となった「マルチレイヤマップ」は健在。画面上部から下部に向かってフリックすることで引き出せる「インスタントメニュー」を使うことで、地図上に表示される情報を簡単にカスタマイズすることができる。「そんなに頻繁には変えないけど、たまに変えたくなる」ような項目が並んでいるため、いちいちメニューを辿っていかなくても済むのはホントに便利。サイバーナビならでは、って感じの機能でグッドだ。贅沢を言えばスマートコマンダーで操作できるようになれば、もっとイイのだけれど。

 スポットなどの検索まわりも従来どおり。エリアやジャンルでの絞り込みはもちろん、周辺検索では現在地周辺だけでなく都道府県を指定することも可能だ。駐車場満空などのスマートループ系の検索も同じナビメニューにまとめられ、使い勝手が向上している。

■スーパールート探索を用意

 2016年モデルをアップデートすることで使えるようになった「スーパールート探索」。2017年モデルには当然、最初から実装されている。これは、カーナビで一般的なローカルに持っているデータを使ってルートを探し出すのではなく、サーバーを使うことによって、より膨大なデータから最適なルートを探し出すというもの。

 バリエーションは「推奨/有料標準」をベースに、「推奨2/有料標準」「推奨/有料回避」「推奨2/有料回避」「時間優先/有料標準」「幹線優先/有料標準」の計6パターンで変わらず。そのため、画面上の見た目では従来のルート探索なのか、スーパールート探索なのか分かりづらいけれど、よく見ると「SUPER」の文字があるので判別が可能だ。

 探索スピードはスーパーになっても「爆速」を維持。推奨ルートの探索はものの数秒で完了する。複数ルートの探索をバックグラウンドでやっている様子だが、クアッドコアの威力か操作には影響がなく、推奨ルートであればすぐに案内の準備が完了、ナビをスタートすることができる。

 一方、ルート品質という点ではある程度使い込んでみないと分からないため、残念ながら今回のような短時間の試用ではその可否を判定するのは難しいところ。毎回チェックしているルートで見比べた限りでは、ムリヤリ大回りして別ルートを作るようなことがなくなり、「数分余計に時間がかかるものの、高速料金が安くなる」ルートのような、実用面でうれしいパターンを挙げてくれるようになったと感じられた。具体的には「直近のIC(インターチェンジ)からではなく、1つ先のICを使う」といった具合だ。どちらを使うかはユーザー次第だけれども、そういった選択肢が用意されカンタンに比較することができるのは便利だ。

 実際に走り出してみると、交差点拡大や方面案内看板、細街路での案内といったあたりは2016年モデルと印象は変わらない。ルートから外れてしまった際のリルートも素早く、まったく不安を感じることなく走ることが可能だ。加えて、マルチドライブアシストユニットを装着することにより、誤発進警告、レーンキープサポート、ターゲットスコープによる注意喚起など、安全系の機能が追加されるのもうれしい。今回は利用することがなかったけれど、「フロアカメラユニット」を活用して駐車時の異常を認識して車内外を撮影する「ライブカーセキュリティ」やドライブレコーダー機能が付加されているのも便利。運転席まわりをスッキリとさせつつ、安全安心機能を利用することができるのだ。

 自車位置精度については、もはやなにも言うことがない感じ。GPSはもちろん、日本の準天頂衛星「みちびき」、ロシアの衛星測位システム「グロナス」、さらに衛星の誤差補正情報や不具合情報を提供する「SBAS(静止衛星型航法補強システム)」にも対応。加えて上下、左右、回転方向の加速度&角速度を「6軸3Dハイブリッドセンサー」で検出することで、より正確な自車位置を表示することが可能となっている。

 実際、チェックルートとして使っている首都高速道路と一般道が上下に併走する場所や地下駐車場などを走ってみたものの、まったく破綻することなく正確な自車位置を表示。素早いリルートと相まって、どこでも不安なく走ることができそうだ。

■モデルチェンジの目玉となったAV機能

 今回のモデルチェンジで大きなトピックとして伝えられていたのがAV機能だ。2016年モデルでも筐体構造からプリント基板のパターン設計まで一新と、大がかりな変更を行なっていたものの、さらに48bitデュアルコアDSPから「52bitトリプルコア浮動小数点DSP」へと強化するなどにより、ハイレゾ対応を果たしている。

 同時に、より緻密にセッティングを追い込むことができる「マスターコントロールモード」を搭載。「31バンドグラフィックイコライザー」や0.35cm単位で設定可能な「タイムアライメント」など、コダワリの調整が可能だ。また、今回のセレナなど車種別モデルには、同社のエキスパートによる専用セッティングが施されたモードが用意されており、ユーザーが複雑な調節を行なわずとも、理想的な環境で音楽を楽しむことができる。

 オーディオまわりのレビューについては「本田雅一の新型サイバーナビ『音』限定レビュー」が掲載されているので、そちらをチェックしてほしい。

■2017年モデルのお買い得度は?

 と、2016年モデルと比較しつつレビューをしてきた。前回のレビューで「サーバーを使った機能が使えるようになってからが本領発揮」なんて書いたけれど、それが実現したのが2017年モデルといえる。また、機能面だけに留まらず、クアッドコアSoCの採用やハイレゾ対応など、「そこまでやるの!?」ってほどの力の入り具合は、サイバーナビは最先端を突っ走るぞ的な開発側のメッセージを感じさせるもの。

 2015年モデルまでとは大きく変わった2016年以降のサイバーナビ。2017年モデルはその新たな系譜を着実に伸ばしていくと言える出来。サイバーファンにこそ使ってみてほしい1台に仕上がっている。

Car Watch,安田 剛

最終更新:12/8(金) 0:00
Impress Watch