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天敵オオカミでも絶滅はさせない……自然と調和、内モンゴル遊牧文化の真髄

12/8(金) 11:30配信

THE PAGE

 日本の3倍という広大な面積を占める内モンゴル自治区。その北に面し、同じモンゴル民族でつくるモンゴル国が独立国家であるのに対し、内モンゴル自治区は中国の統治下に置かれ、近年目覚しい経済発展を遂げています。しかし、その一方で、遊牧民としての生活や独自の文化、風土が失われてきているといいます。

【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮る―アラタンホヤガ第6回

 内モンゴル出身で日本在住の写真家、アラタンホヤガさんはそうした故郷の姿を記録しようとシャッターを切り続けています。内モンゴルはどんなところで、どんな変化が起こっているのか。

 アラタンホヤガさんの写真と文章で紹介していきます。

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 遊牧社会で一番大事なことは、すべての動物や植物を絶滅させずに調和、共存することだ。

 例えば、春から夏にかけて家畜の天敵であるオオカミの巣を探し、生まれたばかりの子どもを殺すことがある。その際も、全部は殺さず、必ず一匹残す。これもオオカミの絶滅を避けるためだ。

 しかし、60年代から漢族が増えると、この掟が破られ、内モンゴルではオオカミがほぼ絶滅した。最近、国境付近ではモンゴル国から入ってくるようになって、その生息が確認されている。

 また、ゲルに蛇が入ってくることがある。その際は、木の枝などで丁寧に持ち上げ、ゲルから少し離れたところに置き、頭に牛乳を捧げ、自然に戻す。決して、殺してはいけない。

 遊牧民が年に何回も遊牧する最大の目的は、一カ所で草を家畜が食べ尽くすことを避け、豊かな牧草地を守り、自然と人間の調和を大事にすることだ。これが遊牧文化の真髄だと思う。(つづく)

※この記事はTHE PAGEの写真家・アラタンホヤガさんの「【写真特集】故郷内モンゴル 消えゆく遊牧文化を撮るーアラタンホヤガ第6回」の一部を抜粋しました。

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アラタンホヤガ(ALATENGHUYIGA)
1977年 内モンゴル生まれ
2001年 来日
2013年 日本写真芸術専門学校卒業
国内では『草原に生きるー内モンゴル・遊牧民の今日』、『遊牧民の肖像』と題した個展や写真雑誌で活動。中国少数民族写真家受賞作品展など中国でも作品を発表している。
主な受賞:2013年度三木淳賞奨励賞、同フォトプレミオ入賞、2015年第1回中国少数民族写真家賞入賞、2017年第2回中国少数民族写真家賞入賞など。

最終更新:12/13(水) 10:19
THE PAGE