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「あの日」の経験が力に いわき勿来で「減災マップ」作りワークショップ /福島

12/8(金) 8:19配信

みんなの経済新聞ネットワーク

 福島県立磐城農業高校(いわき市植田町小名田)体育館で12月2日、ボランティア講座「my減災マップづくり」が開催され市民30人が参加した。勿来(なこそ)地区社会福祉協議会、勿来地区ボランティア連絡会の主催。(いわき経済新聞)

my減災マップ作りの様子

 当日は、講師に「減災ラボ」(神奈川県横浜市)の代表理事で、防災図上訓練指導員の鈴木光さんを迎え、自宅と近隣地域の地図を使った「my減災マップ」を作った。「my減災マップ」とは、同団体が開発した、クリアファイルに数枚の地図を挟み、ファイルの上から、自宅や避難所、川や道路を書き込んでいくことで、地域に住む住民一人一人が自分だけの地図をつくる試み。

 参加者は居住地区ごとに3つのグループに分かれ、それぞれの地区の道路や橋、病院や行政機関、避難所となりうる場所、実際に避難所として指定されている場所などを話し合いながら印を付ける。実際に災害が発生したと想定した際にどのルートで避難できるか、想定しながら地図を仕上げていく。その際に話題に上がるのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災のこと。あの時はこの橋の土台が壊れて渡れなかった、この道路は渋滞してしまうので、こちらの道を通った方が良さそうだ…。集まった参加者の経験と知見で、リアルに状況を想像することができたり、忘れていたことを思い出したりしながら、それぞれに自分だけの「my減災マップ」を完成させた。

 その後はグループ内で、「避難所運営」や「在宅避難」、「災害時に配慮が必要な人」などのテーマで話し合った。震災時は1週間、水が止まっていたこと、避難所がどこに開設されたかも分からなかったこと、給水所の情報がなかなか得られなかったこと、急な階段の先にある避難所には年寄りを連れて行けないなど、生活に密着した当時の出来事が次々と話題に上がった。そうした状況になった際に自身ができることを参加者同士で積極的に分かち合い、事前の地区内での状況把握や平時に情報収集することで、災害時に被害を減らせること=「減災」を学んだ。

 鈴木さんは「思い出すこと、その経験を生かすことができるのは、実際に震災を体験しているいわきの人だからこそ」と力を込める。自身のルーツでもあるいわき市で減災ワークショップを開くことで、故郷に恩返しできたらという思いもある。昨年11月、いわき市に津波警報が発令された際に、実際に避難所となった同体育館でのワークショップは、会場の寒さや避難所としての広さなども含め、参加者には大いに参考になったようだ。

 ワークショップには会場となった磐城農業高校の校長やPTA役員、いわき市危機管理課の職員なども参加した。同講座は場所を変え継続して開いていく予定。

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