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“ドーン”屋根に衝撃 日常一変 襲う恐怖 園児悲鳴「庭だったら」

12/8(金) 9:57配信

琉球新報

 「ドーン」。7日午前10時20分ごろ、突如響いた衝撃音が緑ヶ丘保育園(宜野湾市野嵩)の和やかな日常を打ち破った。米軍のものと見られるプラスチック製の筒が同園のトタン屋根に落下。クリスマスの出し物の練習中に物体が屋根にぶつかる音が響き渡り、園内にいた1~5歳の園児約60人の中には「わー」「怖い」と悲鳴を上げる子もいた。「命に向き合ってほしい」と訴える園長。園児を迎えにきた保護者の中には恐怖で涙を拭う人もいた。何度も繰り返されてきた落下事故。市民、県民の生命の安全は軽視されたままだ。


 「もし庭に落ちていたら、犠牲者が出たかもしれない」。園庭にいた保育士の新垣リナさん(38)は、恐怖に声を震わせた。筒状の落下物は3回ほど跳ねてゴロゴロと転がり、園庭に落下するまであと十数センチのところで止まった。米軍ヘリがバタバタと音を立て、上空を通過した直後のことだった。神谷武宏園長(55)が近づいて見ると、落下物は熱を帯び、焦げたような臭いを漂わせていたという。

 通報後、規制線が張られた園を県警の捜査員らが慌ただしく出入りし、住宅街は物々しい雰囲気に。その間もCH53Eなど米軍ヘリが何度も上空を飛行した。 午後4時すぎ、中嶋浩一郎沖縄防衛局長が現場に姿を現すと神谷園長が詰め寄り、緊迫した雰囲気に包まれた。「騒音を聞いた子どもたちの顔、見たことありますか」「私たちの命を軽視して飛ばす理由がどこにあるんですか」。手元を震わせ、顔を紅潮させた。

 「息子は大丈夫なのか」。園には動転した様子で迎えに来た母親(34)の姿も。ニュース速報を見た知り合いから電話を受け、急いで駆け付けた。「毎日、真上を米軍機が飛び、本当に怖い。飛ばない場所に預けたいが、この辺りにそんな場所はない…」。息子(3)の小さな手を強く握り、涙を拭った。



「命に向き合って」/園長、悔しさにじませ

 緑ヶ丘保育園(宜野湾市野嵩)の園長で牧師の神谷武宏さん(55)は、事故を受け日米両政府に「命に向き合ってほしい。どんな命も軽視されてはいけない」と求めた。米軍機は日ごろから低空で飛行し「いつ事故が起きてもおかしくない状況だった。こんな場所は沖縄だけだ」と悔しさをにじませた。

 緑ヶ丘保育園は普天間バプテスト教会に付属し、普天間飛行場の滑走路の延長線上に当たる。1964年に設立され、神谷さんは2007年から4代目の園長を務める。

 12年から普天間飛行場や名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前でゴスペルを歌う活動を続けている。オスプレイ配備1週間後に迎えた運動会の前日、園児が「オスプレイ飛びませんように」と祈っていたことに勇気付けられたことがきっかけだった。

 米軍機がごう音を立てて飛び、園児が耳をふさいで怖がったり、驚いて給食を口からこぼしたりする姿を見てきた。園長としての責任を感じ「危険なものは危険だと発信し続けよう」と誓ってきた。

 「基地がある限り、事故は起こる」とも語る。7日午後、保育園を訪れた佐喜真淳市長にも県と歩調を合わせて普天間飛行場の閉鎖・撤去を進めるよう求めた。

 

琉球新報社

最終更新:12/8(金) 9:57
琉球新報