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<ノーベル賞>世界の分断、文学が突破口 イシグロさん講演

12/8(金) 9:41配信

毎日新聞

 【ストックホルム鶴谷真】今年のノーベル文学賞に選ばれた日系英国人作家、カズオ・イシグロさん(63)が7日夕(日本時間8日未明)、スウェーデン・アカデミーで約500人の聴衆を前に記念講演を行った。演題は「私の20世紀の夜、そしてその他のささやかな突破口の数々」。格差が広がって世界中で人々が分断される中で「私たちはもっと多様にならねばならない」と語り、文学こそ貢献できるとの信念を示した。

 イシグロさんは20代で小説を書き始めた理由を、出身地の長崎市でのわずかな記憶を残したいとの「奇妙な情熱」がきっかけだったと紹介。そこには5歳で英国へ移住して以降、学校では英国人、家庭では日本人として学んだ異なる価値観の影響があると述べた。小説執筆で壁にぶつかると、作家の先達や異分野のミュージシャンの仕事から多くのヒントを得てきたエピソードも具体的に紹介した。

 排外的な空気が広まる現代世界を憂慮しつつ、若い世代の文学者への期待を打ち出して締めくくった。

 イシグロさんは10日の授賞式でメダルなどを授与され、晩さん会に出席する。

最終更新:12/8(金) 11:43
毎日新聞