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【J2シーズン総括コラム】最後まで混戦を極めたJ2…長崎の偉業達成が最大のトピックに

12/8(金) 16:35配信

GOAL

振り返れば、湘南ベルマーレの強さが際立った今季の明治安田生命J2リーグだった。

開幕5試合で4勝1分と最高のスタートを切ると、4月はやや停滞したものの、第18節からは4連勝を達成。第22節にアビスパ福岡をかわして首位に立ったチームは以降、その座を一度も明け渡すことなく、第39節にファジアーノ岡山と引き分けて、J2優勝と1年でのJ1復帰というミッションを成し遂げた。

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58得点と決して攻撃力が高かったわけではなく、際立った選手がいたわけでもないが、6年目を迎えた曺貴裁のもと、スピーディな攻撃と、ハードワークをベースとした粘り強い守備を活かし、着実に勝点を積み重ねた。今季24勝中、14試合が1点差勝利と勝負強さも兼ね備えたチームは、特定の選手に依存しない、まさに総合力で混戦のJ2リーグを勝ち抜いた。早々に湘南の優勝が決まったのに対し、自動昇格争い、J1昇格プレーオフ出場争いは、最後まで予断の許さない状況が続いた。

■混迷の自動昇格・プレーオフ争い

自動昇格争いは、名古屋グランパス、アビスパ福岡の降格組に加え、伏兵のV・ファーレン長崎が争う構図となったが、最後に抜け出したのは長崎だった。節ごとに順位が入れ替わるなか、第39節にロアッソ熊本を下して2位に躍り出ると、続く第40節の水戸ホーリーホック戦にも快勝。そして勝てば昇格が決まる第41節、プレッシャーに屈することなくカマタマーレ讃岐を3-1で下し、Jリーグ加盟からわずか5年にして、悲願のJ1昇格を果たしている。

多くの選手が入れ替わるなか、5年目を迎えた高木琢也監督は、ぶれない姿勢でチームを作り上げた。激しいプレスからの素早いトランジションとエースのファンマを起点とした攻撃が冴え、献身的な守備も最後まで安定感を保った。第30節から13試合負けなしと、とりわけシーズン終盤にその勝負強さが際立ち、失速したライバルをしり目に、誰もが予想しなかった結末を呼び込んだのだった。

より熾烈を極めたのが、昇格プレーオフ出場争いだ。名古屋と福岡の出場はすでに決まっていたが、残り2枠は最終節まで決着を見なかった。可能性を残していたのは徳島ヴォルティス、東京ヴェルディ、松本山雅FC、ジェフユナイテッド千葉の4チーム。そして徳島との直接対決を制した東京Vと、怒涛の7連勝で一気に追い上げた千葉の2チームが昇格プレーオフ進出を果たした。

今季のJ2リーグで特徴的だったのは、スペインでキャリアを積んだ指導者たちの存在である。徳島のリカルド・ロドリゲス監督、東京Vのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督はいずれもスペイン人の指揮官で、千葉のフアン・エスナイデル監督も、アルゼンチン出身ながらスペイン国籍を持ち、そのキャリアの大半をスペインで過ごしている。それぞれが確かな哲学を備え、1年目のJリーグでいずれも結果を出したのは、興味深い出来事だろう。

もっとも、昇格プレーオフで強さを示したのは、昨季までJ1に所属した2チームだった。福岡が東京Vを下し、名古屋は千葉に快勝を収め、1年でのJ1復帰をかけてファイナルを争った。

そしてこの大一番を制したのは名古屋だった。0-0の引き分けに終わったが、リーグ戦上位チームのアドバンテージを生かし、昇格を勝ち取った。リーグ最多の85得点を記録した攻撃スタイルが持ち味ながら、結果が求められるこの一戦では現実的な戦いを演じ、今季のノルマだった昇格を実現している。

風間八宏監督が就任し、リスタートを切った今季の名古屋は、シーズン序盤こそそのスタイルが定まらず、不安定な戦いが続いた。それでも夏場以降、風間監督が求める攻撃スタイルが機能しはじめ、途中加入のガブリエル・シャビエルも大ブレイク。エースのシモビッチもゴールを量産し、昇格レースを牽引した。自動昇格は叶わなかったものの、課題の守備が徐々に安定感を備えはじめ、重要な一戦で崩れなかったのは、来季のJ1に向けて大きな収穫だろう。

一方の福岡は、最後まで得点力不足を解消しきれなかった。湘南と並ぶリーグ最少失点の堅守を備えながらも大事な試合に勝ち切れず、シーズン終盤の6試合でわずか1勝と、自動昇格圏内から転落した。守備は機能したものの無得点に終わったプレーオフ決勝は、今季の戦いを象徴するものだった。

昇格候補の一つと見られていた松本は、最終節で勝利を逃し、8位でプレーオフ出場を逃した。J3から昇格した大分は、終盤までプレーオフ出場争いに名を連ねるなど、大いに健闘。横浜FCは昇格プレーオフ出場のために、シーズン終盤に監督を交代する賭けに出たが、一歩及ばず10位に終わった。

■群馬の降格、熊本の残留

残留争いでは、ザスパクサツ群馬の降格が決定した。開幕から11戦未勝利と大きく躓くと、第14節から16節まで3連勝を達成し復調の兆しを見せたが、第17節からは15戦未勝利と再び深刻な状況に陥った。早々に最下位が確定すると、J3最終節で栃木の昇格が決まったことで、来季はJ3を舞台に戦うことになった。

21位に終わった熊本は、4連敗以上を4度記録するなど、シーズンを通して結果を出せなかった。深刻な得点力不足を解消できず降格圏に沈んだが、クラブライセンスの有無によりJ3からの昇格が1チームとなったことで、来季もJ2に留まることが決定している。

■J2得点王に輝いたのは…

個人のパフォーマンスに目を向ければ、得点王に輝いたのは25ゴールを奪った横浜FCのイバだった。シーズンを通してコンスタントにゴールを奪い、終盤まで昇格争いに踏みとどまった横浜FCの躍進に貢献した。23ゴールを奪い2位となった徳島の渡大生も、今季のJ2でインパクトを放ったひとりだろう。

例年以上に混迷を極めたJ2リーグだったが、結果的に昨季J1で戦った3チームがいずれも上位に食い込み、うち2チームがJ1復帰を成し遂げた。その意味では驚きに欠ける結末ではあった。だからこそ、長崎の昇格は特大のインパクトを放つ。昨季は15位に低迷し、クラブの存続危機にも立たされながらのJ1昇格は、まさに偉業である。

文=原山裕平

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最終更新:12/8(金) 16:35
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