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<琵琶湖>国が洗堰全閉、滋賀県反発 長時間なら大被害

12/8(金) 12:32配信

毎日新聞

 10月に台風21号が滋賀県内を襲った際、大津市の瀬田川にある瀬田川洗堰(あらいぜき)(同市南郷)を管理する国土交通省琵琶湖河川事務所が、堰を完全に閉じる「全閉」操作を実施し、県内の自治体首長や県議らに反発が広がっている。下流の被害抑止と引き替えに上流の琵琶湖で水位が上昇し、長時間に及べば県内で被害が懸念されるからだ。今回は短時間だったが、県は遺憾の意を国に伝え、7日の県議会本会議では三日月大造知事が「誠に残念だ」と改めて述べた。これに対して国側は「規則に従った」と説明し、両者の立場は平行線のままだ。【大原一城】

 瀬田川は琵琶湖から流れ出す唯一の天然河川で、宇治川、淀川と名前を変えて大阪湾に注ぐ。水量を調節するため、現行の洗堰は可動堰として1961年に設置。ただ、全閉操作は琵琶湖の水位上昇の「副作用」が大きいとされ、通常は実施せず、国も「将来は全閉操作を原則しない」との方針は定めている。それでも2013年には41年ぶりに実施し、今回は4年ぶりになった。

 国交省琵琶湖河川事務所によると、台風21号では下流の天ケ瀬ダム(京都府宇治市)で流入量が基準値を超え、10月23日午前1時52分に全閉を開始。同3時半までの約1時間半閉じた後、基準を下回ったことから再び開けた。

 この時、滋賀県は全閉前に同事務所から連絡を受け、電話や文書で回避を要請。全閉後も早期にやめるよう求めた。

 今回は短時間だったため琵琶湖の水位上昇は0.4ミリにとどまり、影響は限定的だったとみられる。ただ近年は実施されなかった操作が立て続けにあったことで懸念が広がり、県内市町の首長や県議らが激しく反発している。

 7日の県議会本会議では自民党の県議が「滋賀がいわばダム的存在を押し付けられている」と批判した。三日月知事は「全閉は沿岸部の浸水を助長し、県民生活に多大な影響を及ぼす」と答弁。今後は「国などに粘り強く、強く立場を訴えていく」ともした。

 三日月知事は、全閉の判断基準になっている天ケ瀬ダムの再開発に加え、瀬田川より下流の宇治川の改修などを国に要望し続けることが重要との立場だ。これに対して自民県議や首長らは、嘉田由紀子前知事から続く「ダムだけに頼らない流域治水」を掲げる三日月氏の政治姿勢を疑問視。嘉田氏が大阪府などと合意していったん凍結された大戸川ダム(計画地・大津市)の建設に結び付ける主張も強めている。来年7月に任期満了を迎える知事選もにらんださや当てが続きそうだ。

最終更新:12/8(金) 17:36
毎日新聞