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師走の風物詩「日本カー・オブ・ザ・イヤー」は、誰がどうやって決めるの?

12/8(金) 7:30配信

SankeiBiz

 「日本カー・オブ・ザ・イヤー」(以下COTY)はもはや、自動車業界における恒例の年末行事である。COTYの声を聞くと、厚手のコートを一枚羽織りたくなるし、年賀状の準備を進めたくなる。不肖この僕もCOTY選考委員として末席を汚す身であり、年の瀬の慌ただしさとともに師走の風物詩なのだ。(自動車評論家/レーシングドライバー 木下隆之)

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 「あの車、乗った」

 「大賞候補だよね」

 「あの技術は世界レベルだね」

 「今年を象徴すると思うよ」

 自動車業界の関係者の間では、そんな会話でもちきりなのである。

 COTYは1980年に、自動車業界の有識者によって創設された日本でもっとも権威ある自動車賞で、今年が第38回。年間を通じてもっとも優秀なモデルには大賞が、つまり「日本カー・オブ・ザ・イヤー」のタイトルが与えられる。専門家のお墨付きを得たようなもので、販売にも結びつくことだろう。自動車メーカーにとっては、喉から手が出るほど欲しい賞なのだ。

◆第1回の大賞は「ファミリア」

 37年前の第1回に初めて大賞に輝いたのは「マツダ・ファミリア」だ。50歳代の方なら思い出深いはず。真っ赤なファミリアは一世を風靡した。

 翌年は、ハイソカーブームの火付け役となった「トヨタ・ソアラ」が受賞。第18回は「トヨタ・プリウス」。世界初のハイブリッドカーであり、これまでの最多得点だったと思う。一昨年は「マツダ・ロードスター」が二度目の受賞。過去の受賞モデルからも想像できる通り、その年を象徴したモデルが大賞に輝いているのである。

 大賞選考前には、いわば予選とも言える第一次選考が行われる。10台が選ばれ「10BEST CAR」との称号が与えられる。その中で最終選考が行われ、トップが大賞に輝くというシステムだ。

 その他、環境や安全に革新的な技術を持つモデルには「イノベーション部門賞」が、秀でたデザインやドライブフィールを持つ車には「エモーショナル部門賞」が、そして軽自動車や、超小型モビリティには「スモールモビリティ部門賞」が与えられる。大賞が総合的な評価がくだされるとしたら、部門賞は特化した個性が評価されることと同意だから、それにも大きな価値がある。

 ちなみに、日本車と輸入車の区別はなく、昨年の11月1日から今年の10月31日までに発表されたモデルが候補車両だ。だが、もし大賞が輸入車でなかった場合には特別に、輸入車のトップに対して別に「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」が与えられる。「実行委員会特別賞」は、福祉車両やモビリティに貢献したイベントや功労者などに与えられる賞である。

◆気になるベスト10は

 すでに「10BEST CAR」の発表は終えていて、以下の10台に決定している。

 「スズキ・スイフト」

 「トヨタ・カムリ」

 「レクサスLC」

 「ホンダN-BOX/N-BOXカスタム」

 「マツダCX-5」

 「アルファロメオ・ジュリア」

 「BMW5シリーズ」

 「シトロエンC3」

 「ボルボXC60」

 「フォルクスワーゲン・ティグアン」

 この結果を踏まえて、12月11日に大賞を含む部門賞が発表される。翌日の新聞1面を飾って受賞広告を展開するメーカーも現れることだから楽しみにしていてほしい。

◆選考委員はこうして選ばれる

 ところで、投票権を持つ選考委員って、一体誰なのか?

 実行委員と呼ばれる運営媒体が推薦したメンバーの中から選考会が行われ、高い得票を得た60名が投票権を持つ。選考委員の選出は毎年だから、現役で活動している旬なジャーナリストが選考委員に抜擢されるのである。

 投票システムがちょっと複雑で、なおかつよく練りこまれている。

 10BESTは、ノミネートのうち5台に投票すればいい。最終選考は、各選考委員の持ち点が25点となる。その上で、一番だと思われる1台に10点を投票、そのほか4台に残りの15点を振り分けなければならないというシステムだ。

 この配点方式が僕らを悩ませる。仮に甲乙つけがたいモデルが3台あったとする。ただし10点を3台に…とはならない。持ち点は25点だからだ。トップに評価した10点以外の残りの15点を4等分せねばならず、結果的に大賞の重みが増すのである。

 票読みも難しい。選考委員はコテコテの自動車評論家だけではない。レーシングドライバー兼務もいれば、デザインが得意な評論家もいる。主婦代表もいればエッセイストも在籍している。今年はテレビ局のアナウンサーが選考委員に加わった。

 ちなみにすでに投票は終わっている。僕がどのクルマを評価したのかは、12月11日に公表される開票結果をご覧いただきたい。ヒントをお伝えしておくと…。クルマの完成度だけではなく、その時代を彩った華やかなモデルに投票するのが僕のスタイルだ。

 次号では、賞の結果と、そのカラクリに関して報告しますよ。

最終更新:12/8(金) 7:48
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