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農泊で空き家解消 景観維持を徹底 住民らもてなし 年800人宿泊 兵庫県篠山市丸山集落

12/8(金) 7:01配信

日本農業新聞

 農村の空き家を宿泊施設として活用し、集落の維持と活性化につなげる動きが出てきた。観光名所でなくても、農村風景や古民家のたたずまい、地域に根付いた食文化や風習などが来訪者を引き寄せる。集落側は、空き家の解消だけでなく、新たな仕事と生きがいの創出、さらには移住者の増加など相乗効果につながっている。

 中国山地の真ん中、兵庫県篠山市の山あいに位置する丸山集落。小さな谷筋に築150年を超すかやぶき屋根の古民家が点在し、集落を流れる小川に魚が群れる。傾斜地の田畑はきちんと耕作され、絵に描いたような「農村の原風景」が広がっている。

 しかし、「ここは限界集落どころか消滅寸前だった」と、住民の佐古田直實さん(74)は語る。集落の12戸のうち7戸が空き家で、寂れた集落に人影はない。荒れた田畑が目立ち、泥棒に荒らされた空き家もあった。「都会に出た人は帰ってこない。みんな下を向いていた」

 そんな集落を再生したのが、空き家を使った民泊だ。地元の一般社団法人・ノオトが旗を振り、空き家の改修と宿泊施設としての活用を住民に提案。首都圏や大阪から空き家の家主も集めて話し合いを重ね2009年、住民を挙げて運営する「農泊」に乗り出した。

 古民家の宿「集落丸山」は、改修した空き家2戸をそれぞれ宿として1棟貸しする。集落内の小屋に“フロント”を構え、住民が客を宿へ案内する。1泊朝食付きで、住民女性らが宿で、客の前で地元の朝ご飯を作ってもてなす。

 事業開始から8年。インターネットや口コミなどで評判が広がり、年間約800人が宿泊に訪れるようになった。現在、宿の稼働率は3割程度と「維持運営するには十分」(佐古田さん)な収益を得られ、集落の新たな仕事として定着した。

 最近は集落に若者が移住し、レストランとシェアハウスを運営する。特産の黒大豆でオーナー制を始め、都市住民との交流も生まれた。集落に今、荒れた田畑は見当たらない。佐古田さんは「人が出入りするのがうれしい。住民は皆、期待を裏切らないよう景観の維持に余念がない」と晴れやかだ。

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最終更新:12/8(金) 11:22
日本農業新聞