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アウキミン州知事は「ブラジル政界の徳川家康」か?

2017/12/8(金) 5:24配信

ニッケイ新聞

 来年10月の大統領選挙は、汚職裁判で出馬失格の危険性のある中、国民の圧倒的な支持率を元に突っ走る元大統領のルーラ氏(労働者党・PT)と、「反ルーラ、反PT」の支持を集める極右候補のジャイール・ボウソナロ氏の一騎打ちのような様相を現時点では見せている。だが、まだ選挙本番の10カ月以上前。そのまま行くとは、少なくともコラム子は見ていない。
 選挙戦を今後面白くしていきそうな候補が、コラム子の目には少なくとも、5人はいるが、今回はその中のひとり、民主社会党(PSDB)のジェラウド・アウキミン・サンパウロ州知事について語りたい。
 PSDBといえばPTのこの20年の最大のライバルで、アウキミン氏も06年の大統領選でルーラ氏との決選投票で大敗しているため印象はさほど強くない。だが、ここに来て、非常に同氏が得意とする流れで浮上してきているのがコラム子的には気になっている。
 このアウキミン氏、とにかく「泣くまで待とう、ホトトギス」ではないが、自分から慌てて仕掛けることをあえてしないスタイルで知られている。
 それは2014、15年の少雨による水危機がそうだ。あの当時聖州は最大のカンタレイラ水系が底を突き、誰の目にも給水制限が必要だった。にもかかわらず、同知事はそれを頑なにやらず、同水系の地下水の汲み上げと、放水量調節と水道代値上げだけを行なった。
 その態度に州民は苛立ったが、そのうち雨が降り、水系の貯水量は回復。今や汲み上げに使った道具が他州の水不足の対策道具で貸し出されるほどの「手柄」にいつしかなっていた。
 また、14年のサンパウロ州知事選のテレビ討論会でも、アウキミン氏は対立候補には一切質問せず、攻撃的な姿勢を見せないまま冷静さを保ち、選挙本番では一次投票で圧勝していた。
 そして14年選挙でのサンパウロ州知事再選後、当初から「PSDBの大統領選はアウキミン氏で」の声が挙がる中、本人は表向きには国政の意欲を見せず、14年大統領選に敗れたアエシオ・ネーヴェス同党党首が出馬への意欲を隠せないでいた。
 だがアエシオ氏は、今年5月のJBSショックで、あわや現行犯逮捕もありえたくらいの収賄スキャンダルに巻き込まれ、政治生命こそ絶たれなかったものの大統領選的には万事休す。
 PSDB内のライバルは、アウキミン氏がみずから目をかけた企業家出身のジョアン・ドリア聖市市長のみとなった。17年の市長就任当初はフレッシュな魅力で大人気で、「地味なアウキミン氏より大統領候補には良いのでは」の声もあがっていたドリア氏だったが、その声に舞い上がり、国の内外で行なった自己アピール活動が不評で人気が下降した。
 その間、アエシオ氏やドリア氏に特にライバル心も嫉妬も表さなかったアウキミン氏が、テメル政権支持か否かを元に内紛・分裂状態にあったPSDBをまとめることも期待され党首に就任。大統領候補もたしかなものにしている。
 「ブラジル政界の徳川家康」なのか「無手勝流」なだけなのかはわからない。ただ、いつもの「アウキミン・ペース」で浮上してきた同氏の術中に国民がはまると、大統領選もまだまだわからない。(陽)

最終更新:2017/12/8(金) 5:24
ニッケイ新聞