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自動車に採用広がるか、植物使う樹脂部品

12/8(金) 10:56配信

ニュースイッチ

三菱ケミカルのバイオエンプラ、「CX―5」に採用

 植物由来原料を使ったバイオエンジニアリングプラスチックが国内外の自動車メーカーへの採用を着実に増やしている。三菱ケミカルは自社の「デュラビオ」で大型部品に使える新グレードをマツダと開発し、「マツダCX―5」のフロントグリルに採用された。樹脂の組成を見直すことで、従来のグレードに比べ大型部品に適した耐衝撃性や耐候性、成形性を引き出した。

 デュラビオは植物由来原料のイソソルバイドを用いたバイオエンプラ。発色性に優れ、顔料を配合するだけで塗装以上の平滑感や色合いを表現できる。

 マツダへの供給は6車種目で、新グレードによる内装・外装意匠部品は他の車種にも展開される予定。デュラビオはスズキや仏ルノーにも採用されている。

素材産業はスペック勝負の先を目指す

 一方、曙ブレーキ工業は2020年をめどに、植物由来樹脂を活用したブレーキパッドを量産する。フェノール樹脂にスギ木粉由来のリグノセルロースを均一に混ぜた材料を用いており、強度は既存品より2―3割高い。自動車メーカー各社は環境に配慮した自動車づくりの一環として、内外装に植物由来樹脂を使用している。ブレーキ関連部品への採用で、自動車への適用範囲が広がりそうだ。

 開発したブレーキパッドはスギの粉を水に溶いて構成成分であるリグノセルロースをナノメートルレベルにまで細かくし、フェノール樹脂に混ぜた材料を使う。フェノール樹脂に対し機能に応じて1―10%のリグノセルロースを混入する。スギの木粉は日本で手に入りやすく特別な処理が不要のため比較的安価で生産できるという。

 同社によると、ブレーキパッドに植物由来原料を使うのは初めて。既存品に比べて強度が高まるほか、熱膨張への耐性も1―2割程度改善する。コストは高くなるが、20年の量産開始までに生産ラインの改善などによって既存品と同等にする計画だ。

<解説>
 期待のバイオエンプラ。軽量化と金属代替の樹脂は切っても切り離せない関係だが、軽量化メリットだけでは顧客からの値下げ圧力にあらがいきれない場面もあろう。

 さらなる付加価値がほしい中で、顔料を混ぜて成型できるバイオエンプラは塗装工程を省ける。製造工程短縮のインパクトは大きく、近年は仏ルノーやスズキにも採用された。

 素材業界はわずかな性能差を競うより、顧客のプロセスを大きく変えるソリューション力でしのぎを削る新時代に差し掛かっている。

最終更新:12/8(金) 10:56
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