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【回顧2017・市原】「チバニアン」誕生へ 現地記者、最初は「理解不能」 吉報への努力に敬意

12/8(金) 11:20配信

千葉日報オンライン

 「理解不能」。それが話題の露頭を初めて取材した際の正直な感想だった。2015年8月。地質年代の境界を示す代表的な地層を「国際標準模式地」として認定するため、9カ国の地質学者が市原市田淵の地層を視察した時だ。

 地球の歴史を時期ごとの特徴で区分した地質年代。258万年前から現在に至る人類の時代、新生代第四紀は最も新しい完新世とそれ以前の更新世に分かれ、更新世も前・中・後期に細分化される。

 地質年代の名称は、境界が明確に分かる世界基準の1カ所にちなみ、前期はイタリアの地層を基に命名。地磁気逆転が起きたとされる77万年前が始点となる中期には国際的な呼び名がなく、ここに同市田淵の地層を根拠とする「チバニアン(千葉時代)」の名称が付くか、関心を集めていた。

 同市田淵の地層では、堆積する77万年前の火山灰層付近に地磁気逆転の痕跡が良好な状態で残るとされるが、目にしただけでは当然ながら判別できず、関係者に話を聞いても内容は難解かつ壮大。文系出身の記者としては、冒頭の4文字を払拭(ふっしょく)するのに一苦労だった。

 イタリアにある2カ所の地層との命名争いが長年にわたり繰り広げられる中、2017年11月に大きな動きがあった。地質年代の一区分にチバニアンの名称を刻むための申請が、国際学会の1次審査を通過。その後に結論が覆った前例はほとんどなく、命名が濃厚になったという。

 地層の研究などに協力してきた地域住民は喜びに包まれ、現地には見学者が殺到。中には県外から朝一番で足を運ぶ人もおり、注目度の高さをうかがわせた。「うれしい悲鳴が本当の悲鳴に変わりつつある」。安全確保などの対応に追われた市幹部からは、そんな声が漏れたほどだ。

 同市田淵の地層を巡っては、市が国の天然記念物の指定を目指し、手続きを進めている。貴重な地域資源の保存・活用を進めるためにも、地層を削り取るなどの悪質な行為がないことをただただ願う。

 「77万年前のことなんてすごい」「市原市に“地球遺産”が誕生する」-。地域に明るい話題を生んだ同市田淵の地層。チバニアンの誕生に向けて力を注いだ全ての関係者に敬意を払いながら、来年にも訪れるとみられる正式決定の知らせを楽しみに待ちたい。

(市原支局 市古昌也)