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脂肪幹細胞で欠けた骨治療 澁谷工業と金大が共同研究

2017/12/8(金) 2:06配信

北國新聞社

 澁谷工業(金沢市)は、脂肪の幹細胞を使って骨の細胞を作り、骨の欠損治療に役立てるため、金大と共同研究に乗り出した。事故や加齢などで欠けた骨を人工骨で補うのではなく、生体に由来する幹細胞を活用することで治療後の人体への影響を抑える。来年夏ごろの動物実験を経て、将来的に、ヒトの整形外科や歯科分野での導入を目指す。

 澁谷工業と金大は11月、共同研究に関する契約を締結した。

 澁谷工業によると、骨の欠損治療は一般的に、人工骨や凍結保存された他人の骨を移植する方法で行われているが、骨の強度がもろかったり、アレルギーや感染症を引き起こしたりする課題が指摘されている。

 金大医薬保健研究域医学系整形外科学分野の土屋弘行教授らは、脂肪の幹細胞を基に平面状の骨の細胞シートを作製している。ただ、治療に活用するには立体的な3次元構造を持つ骨の作製が求められていた。

 澁谷工業は、再生医療用のバイオ3Dプリンターなど、無菌環境下で細胞の塊を培養して立体的な体内組織をつくる技術を持つ。

 土屋教授の基礎研究と同社の製造技術を組み合わせれば、3次元構造を持つ骨の作製などができると判断し、双方が共同研究に合意した。既に実施した検討実験では、脂肪の幹細胞から、新しい骨をつくる働きを持つ「骨芽(こつが)細胞」の塊の作製に成功したという。

 共同研究では、実験室レベルの微細な骨の細胞シートに澁谷工業の製造技術を活用し、多様な骨芽細胞の塊をつくる手順を確立する方針である。骨の欠損部分に粒状の骨の細胞を重ね、埋めるように補修する案も描いている。

 澁谷工業によると、人体の器官のうち、脂肪は幹細胞の密度が大きい上、拒絶反応も起こりにくい。将来的に治療での活用を考えると、人体から比較的取り出しやすい脂肪の幹細胞を使うのが最も安全で効率が良い。人工骨に比べて人体への親和性も高いという。

 澁谷工業の担当者は「脂肪の幹細胞で骨が作ることができれば、欠損治療で人工骨に比べて治療期間も短くなる。患者の生活の質向上に役立つ成果を上げたい」と話した。

北國新聞社

最終更新:2017/12/8(金) 3:15
北國新聞社