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パレスチナで衝突 エルサレム首都承認受け

12/8(金) 12:46配信

BBC News

パレスチナ自治区ガザ地区とヨルダン川西岸で7日、トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と正式に認めたことに反発する抗議行動が治安当局との衝突に発展し、少なくとも31人が負傷した。そのうち1人は危篤状態だという。

エルサレムの地位をめぐってイスラエルとパレスチナが激しく対立するなか、トランプ氏の発表は歴代政権が継続してきた政策を転換するもので、国際社会からは落胆の声が上がった。

イスラエルは抗議デモやストライキを行うパレスチナ人に対抗するため、ヨルダン川西岸に何百人もの兵士を追加で派兵した。

デモ参加者らがタイヤを燃やし投石する一方、イスラエル兵は催涙ガスを発射し、ゴム弾や実弾で対抗した。

イスラエル軍によると、ガザ地区から発射されたロケット弾1発がイスラエル南部に着弾したものの、そのほかのロケット弾はイスラエルに到達しなかった。

イスラエル軍はこれに対し、戦車1台と戦闘機1機でガザ地区の「テロ拠点2カ所」を攻撃したと発表したが、それ以上の詳細は伝えなかった。

米国と緊密な同盟関係にある国の多くは、今回の動きに賛同しないと述べている。また、国連安全保障理事会とアラブ連盟は近日中に会合を開き、今後の対応を決める。

今回の発表を機に、暴力が再燃するするのではとの懸念がある。ガザ地区を実行支配するイスラム原理主義組織ハマスはすでに、新たな民衆蜂起「インティファーダ」を呼びかけている。

なぜトランプ氏は米国の政策を転換したのか

トランプ氏は6日、「このような行動を取ることが、アメリカ合衆国の利益にとって、またイスラエルとパレスチナ人の間の和平とって最も資すると判断した」と今回の動きについて語り、国務省に大使館をテルアビブからエルサレムに移転する指令を出したと述べた。

中東地域を今まで以上に不安定にするという警告にも関わらず、トランプ政権がエルサレムを首都と認めたのは、トランプ氏が大統領選での公約を果たし、右派の支持層をひきつける目的のためだ。

トランプ氏は、エルサレムをイスラエルの首都として認めるのは「要は現実を追認するに過ぎない」と述べた上で、「正しい行動でもある」と付け加えた。

トランプ氏は、米国が「2国家共存構想」を支持すると述べた。2国家共存構想とは、ヨルダン川西岸、ガザ地区、東エルサレムにある1967年の第3次中東戦争以前の停戦ライン内に独立したパレスチナ国家を作りイスラエルと平和的に共存することを指す。トランプ氏は、「両者が合意すれば」構想を支持するとしている。

トランプ大統領はまた、イスラエルがエルサレムについて述べる際に使う「永遠かつ不可分の首都」という表現の使用を避けた。パレスチナ側は、将来的にいかなるパレスチナ国家であれその首都を東エルサレムにしたいと考えている。

これまでの反応

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「首都の歴史に自身を永遠に結び付けた」トランプ氏に対し、同国が深く感謝していると語った。

ネタニヤフ首相はまた、イスラエルが「その他諸国にも米国に続くよう働きかけている」と述べた。具体的な国名は挙げなかったが、イスラエルのメディアはフィリピンやチェコ共和国だと報じている。

ホワイトハウスは、トランプ氏の動きに続く国があるとは聞いていないと述べている。

パレスチナ側での雰囲気は全く異なる。

ハマスは、8日金曜日を「怒りの日」とするよう呼びかけ、「占領者に対抗するインティファーダの始まりの日」とすべきだと述べた。

ハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏はガザでの演説で、「この戦略的危機に立ち向かう」ためにハマスのメンバーは「準備万端」だと語った。

一方、ハマスと競合し、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長が率いるファタハは、国連安全保障理事会に苦情を申し立て、アラブ連盟の強い姿勢を求めるなどし、外交手段での抗議に出ている。

ファタハの広報担当ナセル・キドワ氏は、「我々は、米国があらゆる和平プロセスの共同提案者として不適格であると宣言する予定だ」と述べた。「我々の考えでは、この件に関して米国はいかなる取り組みを行う能力も失った」。

また、アラブ諸国ひいてはイスラム世界全体で激しい非難の声が広がっており、トルコのエルドアン大統領はトランプ氏が「この地域を火の輪に中に投げ入れた」と警告した。

英国、フランス、ドイツ各国の首脳はそれぞれ、米国の発表に同意しないと表明している。

今回の発表はなぜ重要なのか

エルサレムは、イスラエルとパレスチナのいずれにとっても、非常に重要な意味を持つ。エルサレムには一神教信仰の3大宗教、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地がある。

エルサレムに対するイスラエルの主権はこれまで国際的に認められたことはなく、世界各国は大使館をテルアビブに置いている。

旧市街が位置する東エルサレムは、1967年の「6日戦争」後にイスラエルに組み込まれたが、これまでは国外ではイスラエルの一部として認められていなかった。

1993年にイスラエルとパレスチナの間で結ばれた「オスロ合意」では、エルサレムの最終的な扱いは和平交渉の中で協議するとされている。

(英語記事 Trump Jerusalem move sparks Israeli-Palestinian clashes)

(c) BBC News

最終更新:12/8(金) 12:48
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